糸でグルグル巻きにされた獲物にしがみついているクモがいました。
捕えられた獲物をよく見ると,こちらもクモです。[写真1]
捕えられたクモは10月2日に書いたキシノウエトタテグモで,捕らえた方のクモはヒメグモのなかま,オオヒメグモではないかと思います。
オオヒメグモは名前に「オオ」とついていますが,体長1cmにも満たない小さなクモです。
オオヒメグモについて,新海栄一著「ネイチャーガイド 日本のクモ」(2006年)には次のように書いてありました。
『日本で最も普通に見られるクモ。都市部~高山まで広く生息。建物の内外に多く,部屋の隅,縁の下,ベランダの隅や下側,外階段の下,塀,石灯籠,生け垣などに不規則網を張る。野外では,立看板,側溝,公園のトイレ,山地の崖地,石垣,渓流沿いなどの樹木の枝葉間などにも生息。不規則網の中央部に枯れ葉や土を吊して住居を作る個体も見られる。色彩。斑紋には変異が多い。』
クモがクモを捕えるのは意外な感じがします。
例えばカマキリなど,昆虫が昆虫をとらえて餌にすることはよくあることなので,クモがクモを捕えることは別段変ではないはずですが,でも何か違和感があります。
クモがクモの巣にひっかかってしまうなんて変ですよね。
ウィキペディア「ヒメグモ科」の項目には,次のように書いてありました。
『オオヒメグモのカゴ網の場合、大部分の糸には粘液がついていない。その代わりに、糸が土台に付着する部分の狭い範囲に粘液がついている。これは、土台の部分を歩いている虫がくっつくようになっているものである。歩いている虫がここに粘りつき、暴れると土台のところで糸が切れ、糸は張力で引き上げられる。そうすると、虫はそれに引かれて吊り上げられてしまう。したがって、オオヒメグモの網には、往々にして地上性の昆虫が捕らえられている。』
保育社「原色日本クモ類図鑑」には,オオヒメグモについて次のように書いてありました。
『ヒメグモ科中最大で,体長♀7-8mm,♂4-5mm。腹部は球形で黒・白・褐・黄色の組み合わさった複雑な斑紋がある。個体により黒色型・褐色型・緑色型などがある。成体は立体的な篭網を作るが,幼体はアヤトリ状の網を張る。屋内に多く,高層ビルの高所にも見られ,新築家屋に真先に侵入してくるのも本種である。野外では崖のくぼみ,洞穴などにもいる。野外性のものでは網に木の葉や土粒で屋根をつけているものもある。6~7月に成熟し,数個の卵のうを網に吊るす。網の一部の柱糸先端近くに粘球があり,これに触れた虫を吊り上げる。』
[写真4]は,別の網に付いていた卵のうです。