ヤマネコノメソウの花が咲いています。
花びらのない,小さな花なので目立ちません。
雄しべは萼から生えているのがわかるのですが,雌しべはよく見てもなかなかどこにあるのかわかりません。
雌しべは,半透明のような花床から角のように2本突き出している出っ張りがそれです。
花床と同じ色なので分かりづらいですね。
[写真3]は花の断面です。
変な花だと思っていましたが,こう見ると,花弁がないだけで普通の花と変わりありません。(当たり前ですが)
「牧野新日本植物図鑑」(1970年)には,ヤマネコノメソウについて次のように書いてありました。
各地の人家附近の日かげ,あるいは石垣の間などにはえる多年生草本。全体に長い毛が散生し,うす緑色,著しく液汁に富み,もろい。根元に長さ2~3mmのよごれた紫色の肉芽をつける特性があり,ほふく枝はない。3~4枚の根生葉は円形,基部は心臓形,長い柄があり,ふちに低い鈍きょ歯がある。茎は高さ10~15cm,3~4の鋭い稜があり,小形の葉を2~3枚互生する。早春に茎の先に花弁のない細かい緑色の花を開く。花の下に倒卵形あるいは卵円形の葉状の包葉がある。がく片は4個,広卵形,先端は鈍形,開出して緑色。雄しべは8本で花糸は短い。2個の花柱は平板状の子房上壁に互にそり返って立つ。さく果は初め2角状であるが,5月頃開裂し,低く平らな4個の小片が開いて,さかずき状となり,径5mmに達し,底に暗褐色の小さい種子を現わす。種子は楕円形,片側に脈があり,ルーペでみると全面に微小の毛がある。日本では本属の種類は多いが,ほとんど対生葉で,互生の種類は少ない。
[写真4]は,さく果。(2007年4月11日撮影)
さく果が裂けた様子を猫の目にたとえて,ネコノメソウの名がついています。