• ヒトエグモ plator nipponics
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動物園の塀にヒトエグモが這っていました。
一見,何でもない小さなクモですが,私は見逃しませんでした。

2年前(2007年9月22日)にも同じ場所でヒトエグモを「発見」しています。
その時は,何かのついでに撮ったものだったのですが,後から調べてみて驚きました。
採取例がきわめて稀な,超レアなクモだったのです。

それからは毎朝,ジョギングで前を通るたびに塀を注視しつづけてきました。
2年かかって,ようやく再びめぐり合うことができたというわけです。

『京都府デッドデータブック』には,ヒトエグモの分布について次のように書いてあります。

日本と韓国に分布する。日本では京都府(京都市),大阪府(大阪市、堺市、河内長野市、松原市、豊能町),奈良県で採取または確認されている。採取例は少ない。沖縄県でも採取記録があるが,採取者・採取地とも不明で,おそらくは誤報と思われる。京都市では,東山区,左京区,北区で採取されている。

八木沼建夫著『原色日本クモ類図鑑』(1986年)には,ヒトエグモについて次のように書いてありました。

ヒトエグモ属 Plator SIMON
 全クモ類中でもっとも扁平で,背面から押しつぶしたように見える.背甲の幅>長さで,中窩がない.下唇は,長さ>幅.上顎に外顆と牙堤歯がある.下顎は八字状で毛束がある.第4基節間は広く離れる.胸板は,幅>長さで後方が広がり切断状で終わる.8眼2列で頭部全幅を占め,後列は前列より長い.後中眼は卵形.歩脚は横行性で末端毛束を欠き,全面に刺が多く,基節は長い.間突起を欠き糸器の前対は広く離れる.

5.ヒトエグモ plator nipponics (KISHIDA) 〔=Hitoyegumoa nipponica KIHIDA〕
 体長♂♀7-8mm.背甲は黄褐色で赤味がかり,とくに頭部は濃い.幅>長さで,頭部前方眼域付近は突出する.前眼列は端直でほぼ等距離.後眼列は前曲で後側眼は最大.後中眼は変形し勾玉状.胸板は平坦で,前縁も後縁も切断状の台形で幅が広い.全面が黄色で褐色の縁がある.上顎・下唇・下顎・歩脚ともに背甲と同色.歩脚全面に細毛と刺が多く,各腿節下面には強い刺が2列に並ぶが,とくに前脚のものは長大である.腹部は灰色で黒褐色の短毛を生じる.狭い間隙を好み,家屋のわずかの間隙(たとえば柱と敷居の間)などに身を潜める.また人家付近の墓地の石碑の間隙などでも見られる.分布:本州(京都,奈良,大阪).大阪市内の寺院や旧家でもっとも多く発見されている.
〔注〕ワシグモ科に類似した点が多いことから,ワシグモ科として扱われることがある.

[写真7]は発見時の様子。
比較のために指をそばに置いています。
体長7mmほどの小さなクモです。

塀を這い回っていましたが,近づくとピタッと動きを止めました。
危険を察知すると,とりあえず動きを止めるようです。

動かないのはいいですね。
クローズアップで撮るときも,全く動かないので楽です。

[写真5][写真6]は,体を裏替えして撮ったものです。
上から紙をあてがって,そーとひっくり返すと,体が裏向きになっているのに,まだ固まったまま動きませんでした。