• チチアワタケ
  • チチアワタケ
  • チチアワタケ
  • チチアワタケ
  • チチアワタケ
  • チチアワタケ

今の時期,同じようなところによく似たキノコが出ています。
(→よく似たキノコ

3種類のうち,二つはヌメリイグチとチチアワタケであることは分るのですが,あと一つのキノコが何であるかわかりません。

図鑑を見て,姿が一番よく似ているのはアワタケです。
『山渓カラー名鑑 日本のきのこ』(1988年)には,アワタケについてつぎのように書いてあります。

傘は径3~ 10cm,表面はビロード状で黄褐色~帯褐オリーブ色,時にひび割れ,黄色の肉を露出させる。管孔は帯緑黄色,傷つくとやや青変する。柄の表面は淡黄色~淡褐色で, しばしば上部に縦の隆起線をあらわす。肉は淡黄色,多少青変性がある。夏~秋,広葉樹下に発生。食。北半球。

「広葉樹下に発生」とあるので,マツ樹下に発生していたこのキノコとは発生条件が合いません。
また,管孔は「傷つくとやや青変する」とありますが,このキノコは管孔を傷つけても,全く変色しません。
[写真6]を見ても,傷の部分に変色は見られません。

次に似ているのはアミタケです。
2針葉マツの林内に発生するという条件にも,青変しないという条件にも合致しています。
しかし決定的なところがちがいました。
アミタケは熱を加えると赤紫色に変色します。
半分に切って煮てみたところ,肉は白い色のままで全く色は変りませんでした。

アミタケでないことは確かなのですが,アワタケの線はなかなか捨てきれません。
マツの樹下に発生していましたが,付近にはサクラの木もあります。
また管孔が青変しないことに関しても,図鑑では「やや青変」となっているので,新鮮度や個体差によって青変しない場合もありそうです。

図鑑をめくっても,他に該当しそうな種類が見当たらないのですが。

保育社『原色日本新菌類図鑑(Ⅱ)』(1989年)に書いてあるアワタケの特徴をまとめると,次のようになります。

・傘は径3~10cm,まんじゅう形~ほぼ平ら。
表面はビロード状,黄褐色~帯褐オリーブ色,ときにひび割れて黄色の肉を露出する。
・肉は黄白~淡黄色,切断するとわずかに青変するかまたは変色しない。
・管孔は硫黄~緑黄色,傷つくとやや青味をおびる。
孔口は比較的大形で多角形。
・柄は5~12×0.5~1cm,表面は淡黄~淡褐色,ほぼ平滑~粉状で,しばしば上部においてやや隆起した縦すじを表す。
・胞子紋はオリーブ色。
胞子は12~14×4.5~5μm,楕円状紡錘形。
シスチジアはやや下ぶくれを類紡錘形で,40~60×7~10μm。
・夏~秋,林内,路傍,庭園などのブナ科やカバノキ科の樹下やその付近に群生~単生し,食用。