クビキリギスが塀にとまっていました。
捕まえると,大きく口をあけて噛みつこうとします。[写真5]
牙のようなオレンジ色の大あごが恐ろしげな印象を与えます。
口の周囲が赤いことから「血吸いバッタ」と呼ばれることもあるとか。
でも,顔のバランスが何となく間の抜けた感じもします。
[写真5]と[写真6]を交互に見ると,とぼけた感じがおかしいですね。
「クビキリギス」の「クビキリ」は「首切」です。
頭が取れやすいことからきているようです。
ウィキペディア(Wikipedia)の「クビキリギス」の項目には次のように書いてありました。
食性は植物食傾向の強い雑食で、昆虫類、イネ科植物の穂や若芽等を食べる。顎の力が強く噛みつかれた状態で強く引っ張ると、頭部が抜けることが和名の由来になっている。このように顎の力が強いため、ササキリ類やツユムシなどでは文字通り歯が立たない大きく固い穂、種子も食べることができる。また、引っ張ると比較的首が抜けやすいのは、首の関節が意外と細く、頭頂部寄りにあり、まっすぐ引っ張られると折れてもぎれる形になるからである。
首を縮めて体を一直線にした姿は,見事なロングノーズの流線型をしています。[写真4]
これほどの流線型が必要なほど,速く飛ぶとは思えません。
ほっそりとしたイネ科の葉っぱに擬態しているのでしょうか。
以前の自然観察日記を見返してみると,クビキリギスは2004年4月11日にも記事にしています。
この日の記事は,夜にどこからか「ジー」という音が聞こえてくるので,外に出て捜してみると,草の上でクビキリギスが鳴いていたというものでした。
「ジー」という音は,古い蛍光灯が鳴っているような,変圧器がうなっているような,連続した音です。
家の中にまで聞こえるというのは,かなり大きな音です。
ただ,その時の写真を見返して,本当にクビキリギスだったのか疑念が出てきました。
口が赤くないのです。
同じように「ジー」と鳴いて,姿が似ている種類にクサキリがいます。
でもクサキリの成虫期は8月~10月なので,4月に鳴いているはずがありません。
……よくわかりません。
保育社『全改訂新版 原色日本昆虫図鑑(下)』(1977年)には,クビキリギスについて次のように書いてありました。
体長57~65mm。頭頂は尖り,ロは赤い。緑色型と褐色型があり,紅色をおびるものもある。草地にすみ,成虫越冬,翌5月ごろは低木にのぼり,鋭い声で「ジイーン」と連続して鳴く。移動習性があり,9月ごろ山頂や市街地に突然あらわれることがある。分布:関東~福井以西の本州・四国・九州・対馬。
クサキリについては,次のように書いてありました。
体長40~55mm。緑色型と褐色型がある。頭頂はあまり突出せず,産卵管は長く翅端をこえる。草地にすみ「ジーー」と連続して途切れずに鳴く。卵越冬,成虫期8~10月。分布:関東.新潟以南の本州・四国・九州・対馬・伊豆諸島;中国・台湾・東亜熱帯。