• ヘビの抜けがら
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石垣にヘビの抜け殻がくっついていました。[写真1]
頭の方は,石垣の割れ目のなかに潜りこむように隠れていて,妙にリアルです。

隠れている部分を引っ張り出すと,先に頭がついていました。[写真3][写真4]
目や口もついています。

[写真3]を見ると,目の部分が凸型ではなく凹型になっていますよね。
これは皮が裏返しになっているからです。
ヘビは脱皮の際,頭の方から古い皮を脱ぎはじめ,脱皮が終わると,頭の先から尻尾の先まで,きれいに裏返しになった殻が残ります。

この辺りでよく見るヘビは,シマヘビです。
これもシマヘビの抜け殻だろうと思いましたが,念のために鱗の数を数えてみることにしました。
ヘビの鱗の数(体鱗列数)は,種類によって決まっています。

数えてみると,体鱗列数は[写真5]のように17列でした。
シマヘビは19列なので,シマヘビではありません。
体鱗列数17列は,シロマダラです。

シロマダラは日本全国に分布していますが,個体数が少なく,めったに見かけることがない「幻のヘビ」と言われています。
そんな珍しいヘビではないだろうと,色々な部分で体鱗列数を数えてみましたが,やはり17列です。

『山渓ハンディ図鑑10 日本のカメ・トカゲ・ヘビ』(2007年)には,シロマダラについて次のように書いてありました。

山地から平地までさまざまな環境に生息している。夜行性で,日中は石の間などに隠れていることが多い上,体も小さいため人目につきにくい。数も少ないといわれるが,場所によってはそれほどまれではない。

「場所によってはそれほどまれではない」と書いてあるので,シロマダラの可能性がない訳ではありません。
抜けがらの全長は60cmほど。
シロマダラの全長は30~70cmなので,大きさ的にはあっています。
抜け殻の一部が石垣の割れ目に入り込んでいたのも,「日中は石の間などに隠れていることが多い」に合致するように思えます。
でも,シロマダラかどうか……。