小屋の片隅にクダマキモドキが死んでいました。
アリなどに食い荒らされることもなく,体がほとんど完全な状態で残っています。
虫たちが活動しなくなる,かなり寒くなってから死んだのでしょうか。
(しかし,よく見ると,左の後脚がありません。死んでいた場所を見ても,脚はなかったので,生前からとれていたようです。)
腹端にかぎ状に曲った太い産卵管があるので雌です。

クダマキモドキは,「ヤマクダマキモドキ」と「サトクダマキモドキ」に分けられます。
保育社『全改訂新版 原色日本昆虫図鑑(下)』(1954年)には,次のように書いてありました。

ヤマクダマキモドキ

 体長45~50mm。全身緑色で前翅基部前縁に褐色部がある。前腿節は赤褐色。♀産卵管の先端部は黒色。♂生殖下板は上方に2回湾曲して船底形,産卵管の上縁は先方1/2が切断される。山地の樹ににすみ,「ジ・ジ・ジ」と低く切って5~6声鳴くのみ。成虫期7~10月,よく飛ぶ。大阪付近では300m以上の山地にすみ,平地性の次種とすみわける。和名はフトクダマキモドキを使っていたが,次種より小さいこともあるので改名した。日本固有種。分布:本州(福井・京都・三重・奈良・大阪・山口)・対馬。

サトクダマキモドキ

 体長42~56mm。前種と酷似するが♂の生殖下板は直線状で,先端の切れこみ浅く,産卵管の背縁は先端1/3が切断される。前脚は緑色。平地の樹上にすみ,樹枝を数センチ縦に裂いて平たい卵をうみこみ,傷あとは外にささくれるので桑や果樹に害がある。成虫期8~11月。分布:本州(おそらく関東似南)・伊豆三宅島・四国・九州・対馬;琉球から中国大陸東岸をトンキンまで。ハワイへも侵入している。これまで前種と混同されていたので和名を変えた。本属は東南アジアを中心に約40種が知られる。

両種のわかりやすい見分け方は,前脚の色です。
ヤマクダマキモドキの前脚の腿節は赤褐色,サトクダマキモドキは緑色をしています。
[写真3]を見ると,前腿節は赤褐色をしているので,この個体はヤマクダマキモドキだとわかります。

また,ヤマクダマキモドキの雌の生殖下板は「上方に2回湾曲して船底形」です。
[写真3]を見ると,生殖下板がM字型に切れ込んでいるのが確認できます。
サトクダマキモドキの生殖下板は「直線状で,先端の切れこみ浅」く,おむすび形をしています。

サトクダマキモドキについては→2009年11月1日