家の塀にトゲナナフシがとまっていました。
前脚と触角を伸ばして枝になりきろうとしています。[写真1]
樹上では見事な擬態をみせるトゲナナフシですが,塀の上では無理ですね。

この時季には,路上でつぶされたナナフシもよく見ます。
気温が下がる秋には,日当たりのよい道に出てくるそうなので,それが原因かもしれません。

過去の記事で,ナナフシについて書いているのは次の7件です。
2015年2月21日
2007年9月9日
2006年11月5日
2005年11月23日
2005年8月16日
2003年11月21日
2003年7月14日

2003年7月14日以外の6件は,いずれもトゲナナフシでした。
自宅周辺にトゲナナフシが多いのか,それとも単に他のナナフシ類に比べて目に付きやすいだけなのでしょうか。
他のナナフシ類が木の上にいるのに対して,トゲナナフシは山道の草の上などにいるので,目に触れやすいのは確かなようです。
北隆館『新訂 原色昆虫大図鑑 第3巻』(2008年)には,次のように書いてありました。

成虫は中秋から晩秋にかけて採集されるが,雑多な植物の葉を食する。木の高い部分には発見されず,むしろ,山道の両側の草の生えた土面などで見出される。

この個体は,左右の前脚の長さが違います。
右前脚が,左前脚の2/3ほどの長さしかありません。
自割して再生したもののようです。
ナナフシ類は危険が迫ると触角や脚を自割し,幼虫の段階であれば,次の脱皮の際に再生されます。
上書には,次のように書いてありました。

各脚の転節と腿節との境界から,脚は自割して離れる。すなわち,外部からの刺激で脚をポロリと落して捨ててしまうのである。その場合,脱皮をすればその切断面から小さな脚が再生し,再生脚は,脱皮を重ねる毎に太さと長さを増加する。従って幼時に再生を開始したものほど再生脚は通常の脚の長さに近くなる。しかし,どのような場合においても,再生脚の付節数は4節より増加しない。

左前脚の付節は5節あるのに対して,右前脚の付節は4節しかありませんでした。[写真4]