子どもがつかまえてきたトゲナナフシです。
小学館の図鑑「ネオ」にはトゲナナフシは載っていなくて,私は単純にひげの短いものがナナフシ,長いのがエダナナフシと思い込んでいました。
「学研生物図鑑 昆虫Ⅲ」には,ナナフシについて次のように書いてありました。
『からだは緑色で触角は長くない。雌は頭部に1対のとげがある。ナラの木の林に多く,その葉を食べて生活する。
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本種に似て触角が長く腹部に達し,雌の頭部にとげのないのはエダナナフシ』
ナナフシの雌にはトゲがあると書いてありますが,それも「頭部に1対のとげ」でしかなく,体中にたくさんトゲをもつのはどうやらトゲナナフシのようです。
「学研生物図鑑 昆虫Ⅲ」には,トゲナナフシについて次のように書いてあります。
『光沢のない黒褐色で背面には小さな棘が散布する。前胸の前部には1対の長い棘がある。秋に成虫があらわれ,雑多な植物につくが高い木には登らない。体長:60mm内外。分布:本州・九州。本種に似て中胸の前部に2本の長い棘のあるのは,トゲナナフシモドキ N.ligens Brunner von Wattenwyl であるが少ない。』
トゲナナフシがネオに載っていなかったのは,分布が関西以西であるためかもしれません。
関西では普通種です。
ただ気になるのは,体の色は「光沢のない黒褐色」となっていますが,この個体は緑色を帯びていることです。
また「前胸の前部には1対の長い棘がある」となっていますが,これもよく確認できません。
実物は既に放してしまっているので写真で捜すしかないのですが,それらしきものが見当たりません。
ナナフシ類の卵は植物の種子によく似ていて,種類ごとに色や形が異なり,種を判定するのによい手がかりになるそうです。
保育社「原色日本昆虫図鑑(下)」には,ナナフシ目について次のように書いてありました。
『樹上性で植物の葉を食べ,ときには樹を丸坊主にする。夜行性で,卵は1個ずつバラバラに産み落とす。1♀は100~1,300卵をうむ。卵は樽型で表面の複雑な彫刻や斑紋で植物の種子に酷似し,分類上よい決め手となる。不完全変態。♂がみられず,♀だけで単為生殖する種が多い。アンテナや脚が失われても再生能力がある。』