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[写真1]ヨメナ 頭花
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[写真2]ノコンギク 頭花
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[写真3]ヨメナ 総苞
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[写真4]ノコンギク 総苞
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[写真5]ヨメナ
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[写真6]ノコンギク
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[写真7]ヨメナ 頭花断面
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[写真8]ノコンギク 頭花断面
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[写真9]ヨメナ 筒状花
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[写真10]ノコンギク 筒状花
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[写真11]ノコンギク 舌状花
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[写真12]膜質の総苞(オオバナノセンダングサ)
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[写真13]ヨメナ 花後
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[写真14]ノコンギク 花後
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[写真15]ヨメナ 花後断面
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[写真16]ノコンギク 花後断面
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[写真17]ヨメナ そう果
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[写真18]ノコンギク そう果
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[写真19]ヨメナ 葉
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[写真20]ノコンギク 葉
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[写真21]ヨメナ 葉(表面)
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[写真22]ノコンギク 葉(表面)
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[写真23]ヨメナ 葉(裏面)
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[写真24]ノコンギク 葉(裏面)
最近,ヨメナと思っていた花がノコンギクだったことにと気づきました。
ヨメナとノコンギクの違いについては,以前に一度まとめたことがあるのですが(→2009年10月11日),もう一度確認のためにまとめてみます。
いがりまさし著『日本の野菊』(2007年)の検索表をもとに,検索しながら確認してゆきます。
① 総苞片の縁が「膜質」か「草質」か。
・膜質……キク属のグループ。
・草質……シオン属のグループ。
両種とも総苞片の縁は草質なので,シオン属のグループです。[写真3][写真4]
「総苞片の縁が膜質」とは[写真12](オオバナノセンダングサ)のように,総苞片の外周が薄い透明な膜のようになっているものをいいます。
②舌状花が「おおむね1列」に並んでいるか,それとも「明らかに2列以上」並んでいるか。
・おおむね1列……シオン属
・明らかに2列以上……ムカシヨモギ属
両種とも舌状花は「おおむね1列」に並んでいるので,シオン属です。[写真1][写真2]
③花が咲いた後,冠毛は「ほとんど伸びない」か「急速に伸びる」か。
・ほとんど伸びない……次へ
・急速に伸びる……ウラギク節
両種とも,花後に冠毛が急速に伸びることはありません。[写真13][写真14]
④総苞片は「卵形~楕円形で,瓦状に並ぶ」か「外片と内片の長さが等しく線形」か。
・卵形~楕円形で,瓦状に並ぶ……次へ
・外片と内片の長さが等しく線形……イソノギク節
両種とも総苞片は卵形で,瓦状に並んでいます。[写真3][写真4]
⑤そう果は「扁平」か「円筒形」か。
・扁平……次へ
・円筒形……シラヤマギク節
そう果とは,痩せた果実の意で,果肉がなく果皮と種皮が密着しています。
一見,種子に見えますが,その中に1個の種子を含む果実です。
両種とも,そう果は扁平です。[写真17][写真18]
⑥冠毛は「長さ1ミリ以上,そうでない場合は葉が三角状卵形」か「おおむね長さが1ミリ以下で,葉は披針形~卵形」か。
・長さ1ミリ以上,そうでない場合は葉が三角状卵形……シオン節
・おおむね長さが1ミリ以下で,葉は披針形~卵形……ヨメナ節
ヨメナは,冠毛が1ミリ以下で葉も披針形~卵形なので,ヨメナ節に該当。[写真9]
ノコンギクは冠毛の長さが1ミリ以上あるので,シオン節に該当。[写真10]
両種は同じシオン属ですが,冠毛の長さによって,ヨメナ節とシオン節に分かれます。
⑦ヨメナ節の検索
冠毛の長さにより,3つに分かれます。
・0.5ミリほどで,長さがそろっている……ヨメナ
・1ミリ前後だが,ばらつきが多い……オオユウガギク
・約0.25ミリとごく短い……次へ
[写真](目盛は1mm単位)を見ると,本種の冠毛は0.5㎜もありません。
本種はヨメナだとばかり思っていましたが,そうではないようです。
↓
・九州南部以南に生える……コヨメナ
・九州中部以北に生える……次へ
↓
・そう果の稜と面に腺毛がある…カントウヨメナ
・そう果の稜だけに腺毛がある…ユウガギク
本種のそう果には全面に腺毛があるので。カントウヨメナということになります。[写真17]
ヨメナと思って検索を進めてきたのですが,意外な結果になりました。
カントウヨメナは,名前のとおり関東地方を中心に分布しているヨメナの仲間です。
京都にはカントウヨメナは分布していないはずですが。
たまたまこの個体だけ,持ち込まれた種子から発生したのでしょうか。
同書にはヨメナの「実態は複雑だ。分類も多分に暫定的で,すっきりしているわけではない。」とあり,本種が(狭義の)ヨメナなのかカントウヨメナなのか,はっきり分かりません。
とりあえず(広義の)ヨメナとしておきます。
⑧シオン節の検索
シオン節は種類が多いので,ノコンギクまでたどり着いた道筋だけを記します。
頭花は直径1.5センチ以上
↓
総苞片は卵形,楕円形[写真4]
↓
舌状花は通常11個以上[写真2]
↓
茎に毛はあるが,顕著に粘ることはない
↓
総苞は粘らない
↓
総苞片の先はとがる[写真4]
↓
葉の基部は茎を抱かない[写真2]
↓
総苞は舌状花より短い[写真4]
↓
舌状花はふつう淡紫色。頭花は直径2~2.5センチ[写真2]
↓
葉は卵形~長披針形[写真20]
↓
ノコンギク
本種はノコンギクで間違いないようです。
ヨメナとノコンギクを見分けるポイントとしてよく挙げられるのは,冠毛の長さと葉の手触りです。
冠毛が長いものがノコンギクで,短いものがヨメナ。
ヨメナの葉はつるつるしているのに対して,ノコンギクの葉はざらざらしている。
葉の形はどちらも卵形~披針形で個体差もあるので,葉の形で両種を見分けることはできません。
しかし,葉の肌触りは確かに異なります。
拡大してみると,ノコンギクの葉には表にも裏にも小さな棘がたくさん生えていました。[写真22][写真24]
ヨメナの葉にも結構,棘が生えているのですが(特に裏面),弱々しい棘なのでざらつきとまでは感じられないようです。[写真21][写24]