キランソウの花が咲いていました。キランソウの「キ」は紫の古語,「ラン」は藍色の藍で「青みの強い紫」の意味です。「紫の古語」というと何となく高貴なイメージがします。しかし「地獄の釜の蓋」という別名もあります。草全体にちぢれた毛が密生していて,茎を四方に伸ばして地面を覆うようにはびこることからついた名らしいです。上品な名と別名とのギャップがおもしろいですね。

『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には,キランソウについて次のように書いてありました。
2081.きらんそう(じごくのかまのふた) 〔しそ科〕
Ajuga decumbens Thunb.
本州,四国,九州から朝鮮,満州,支那に分布し,道ばたや土手に多くみられる多年草である。茎は四方にひろがって地面をはい直立せず,全体に多細胞のちじれた毛がある。葉は対生し,根ざわの葉は放射状につき,長さ4~6cm,幅1~2cm,倒皮針形で先端は鈍く,へりにはあらいきょ歯がある。緑色で時に紫色をおびることがあり,上部の葉は長さ1.5~3cmで小形である。春,葉のつけねに濃紫色の小花を数個つける。がくは5裂して毛があり,花冠は長さ約lcm。上唇は短かく2裂し,下唇は大きく3裂し中央の裂片は他の2片より大きく,先は浅く2裂している。雄しべは4本で2本は長い。果実は4個の分果からなり,分果は卵球形で長さ約1.7mm,もりあがった綱目がある。〔漢名〕習慣として金瘡小草が用いられているが確かでない。
・茎は四方にひろがって地面をはい直立せず


・全体に多細胞のちじれた毛がある


・葉は対生し,根ざわの葉は放射状につき,長さ4~6cm,幅1~2cm,倒皮針形で先端は鈍く,へりにはあらいきょ歯がある。緑色で時に紫色をおびることがあり,上部の葉は長さ1.5~3cmで小形である。


・春,葉のつけねに濃紫色の小花を数個つける

・がくは5裂して毛があり,花冠は長さ約lcm。

・上唇は短かく2裂し,下唇は大きく3裂し中央の裂片は他の2片より大きく,先は浅く2裂している。



・雄しべは4本で2本は長い。

