道路上に小さなチョウらしきものが見えました。まだら模様の小さな体は路面に紛れて,視線を外すとすぐに見失ってしまいそうです。やはりチョウのようです。近づいても動きません。死んでいるのかなと思ったのですが,ケースをかぶせて捕まえると,翅も傷んでいなくて意外に新鮮な個体です。朝の気温が低くて体が動かなかったのでしょうか。

キマダラルリツバメ(♂)
キマダラルリツバメ(♂)[ in南禅寺福地町 on2023/6/6 ]
キマダラルリツバメ(♂)
キマダラルリツバメ(♂)

後翅にある2本の尾状突起が特徴的です。調べるとキマダラルリツバメでした。すっかり忘れていたのですが,2016年に土塀にとまっていたのを採取しています。(→2016年7月5日))
その時の個体は♀でしたが,今回は♂です。

学研『日本産蝶類標準図鑑』(2006年)には,キマダラルリツバメの雌雄の違いについて次のように書いてありました。

裏面の色彩斑紋は♂♀同じ。 ♀の翅表は暗褐色、翅形は丸味をおびる。 ♂は前後翅の基半に紫色の光沢をあらわす。ただし♂でも紫色斑がない場合があり、確実な方法として、裏面後翅の1b+C脈にそってあらわれる黒条が肛角付近の橙色斑まで達するか(♂)、途中で切れるか(♀)で区別する。

・♂は前後翅の基半に紫色の光沢をあらわす。ただし♂でも紫色斑がない場合があり
「ルリツバメ」の名前の由来となった瑠璃色(こい紫みの青)の光沢は,♂の翅表だけに現われ,個体差・地域差も著しくて,瑠璃色の光沢が現われないものもいるようです。この個体の紫色班も微かに確認できる程度です。

キマダラルリツバメ表面(♂)
キマダラルリツバメ表面(♂)

・確実な方法として、裏面後翅の1b+C脈にそってあらわれる黒条が肛角付近の橙色斑まで達するか(♂)、途中で切れるか(♀)で区別する。
前回(♀)と今回(♂)の裏面後翅を比較してみました。

キマダラルリツバメ裏面後翅(♂♀比較)
キマダラルリツバメ裏面後翅(♂♀比較)

前回(♀)の翅型全体。♀の方が翅型全体が丸みを帯びているように感じられます。

キマダラルリツバメ翅型全体(♀)
キマダラルリツバメ翅型全体(♀)

今回(♂)の翅型全体

キマダラルリツバメ翅型全体(♂)
キマダラルリツバメ翅型全体(♂)
キマダラルリツバメ頭部(♂)
キマダラルリツバメ頭部(♂)
キマダラルリツバメ(♂)
キマダラルリツバメ(♂)
キマダラルリツバメ後翅端(♂)
キマダラルリツバメ後翅端(♂)