コナラやアラカシなど色んなドングリが落ち始めています。こんな時期に花を咲かせているドングリの木がありました。シリブカガシです。コナラやクリの花に似た,ブナ科特有の臭いが漂っています。
![シリブカガシ(花序)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2023/10/p231006-1.jpg)
雄花穂にコスズメバチがしがみついていました。盛んに口を動かしています。蜜を吸っているようです。スカシバも周りを飛んでいました。花弁のない雄花穂や雌花穂など,見た目は風媒花のようですが,虫媒花だとわかります。
![シリブカガシ雄花序のコガタスズメバチ](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2023/10/p231006-2.jpg)
ドングリの木は春に開花するものが多いのですが,シリブカガシは秋に開花し,1年かけて翌年の秋にドングリになります。秋の開花時には,熟す寸前の青いドングリと花が同居しています。
![シリブカガシ(花序とドングリ)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2023/10/p231006-3.jpg)
『日本の野生植物』(2016年)にはシリブカガシの花について次のように書いてありました。
雌雄同株。花期は9-10月。
雄花序は新枝の葉腋に数個ついて斜上し,長さ6-9cmで黄褐色の短毛を散生する。苞は卵状披針形,長さ約1.8mm。
雄花は皿形。花被は6裂し,裂片は広楕円形,長さ約1mmで,中心部に灰白色のやや長い毛を密生する。雄蕊は10個,花糸は長さ約2mm。
雌花序は新枝の上部の葉腋から出て斜上し,長さ5-9cm苞腋に3花をつける。雌花序の上部にはしばしば雄花がつく。
雌花は総苞も含めて1.5mm内外で,短毛を密生して,総苞内には1花を生じる。花柱は3個。円柱形。
・雄花序は新枝の葉腋に数個ついて斜上し,長さ6-9cmで黄褐色の短毛を散生する。
・雌花序は新枝の上部の葉腋から出て斜上し,長さ5-9cm,苞腋に3花をつける。雌花序の上部にはしばしば雄花がつく。
![シリブカガシ(雄花序と雌花序)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2023/10/p231006-4.jpg)
・雄花は皿形。花被は6裂し,裂片は広楕円形,長さ約1mmで,中心部に灰白色のやや長い毛を密生する。雄蕊は10個,花糸は長さ約2mm。
![シリブカガシ(雄花)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2023/10/p231006-5.jpg)
![シリブカガシ(雄花・断面)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2023/10/p231006-6.jpg)
・雌花は総苞も含めて1.5mm内外で,短毛を密生して,総苞内には1花を生じる。花柱は3個。円柱形。
総苞はドングリの殻斗になります。
![シリブカガシ(雌花)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2023/10/p231006-7.jpg)
![シリブカガシ(雌花・断面)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2023/10/p231006-8.jpg)
果実については次のように書いてありました。
堅果は楕円形。長さ約2cmで,翌年の秋までに熱し,褐色で,基部の着点はくぼむ。殻斗は椀状,径約1cmで,多数の鱗片状の総苞片が瓦重ね状に並ぶ。総苞片は三角形状卵形,先は鋭形。背部には灰褐色の短い毛を密生する。
雌花序には多くの雌花が並んでいますが,翌年にドングリにまで成長するものは少ないです。ほとんどはシイナで,生長せずに終わります。
![シリブカガシ(堅果)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2023/10/p231006-9.jpg)
![シリブカガシ(堅果とシイナ)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2023/10/p231006-10.jpg)