道路脇の茂みの中に,オドリコソウの花が咲いていました。淡紅紫色の花が群生する様子は,踊子の名前を冠するだけあって華やかです。

オドリコソウ
オドリコソウ[ in厨子奥花鳥町 on2024/4/14 ]

『日本の野生植物』(2016年)には,オドリコソウについて次のように書いてありました。

 道ばたの半陰地や,やや湿った落葉広葉樹林の林床に群生する多年草。茎は群がって直立し,4稜があってやや太く,やわらかで,節には長い毛がある。葉は卵状三角形~広卵形,上部のものは卵形となり,先は鋭くとがるかまたはやや鈍く,長さ4-10cm,幅3-6cm,下面の脈上および上面にまばらに毛があり,縁には粗い不斉の鋸歯があり,基部は浅心形で1-6cmの葉柄がある。花期は3-6月。花は上部の葉腋に輪散花序をつくり,葉の基部には短柄がある。萼は長さ13-17mm,裂片の先は針状にとがる。花冠は汚白色~淡紅紫色,長さ2.5-3.5cm。花筒は基部で湾曲して立ち上がり,前面がふくらみ、上唇はやや平たいかぶと状で,縁に長い毛がある。下唇は反曲して,側裂片はごく短く先端は小さい突起状となり,中央裂片は大きく開出して2浅裂し,虫の止まる足場をつくり,基部に紫褐色の斑紋がある。分果はくさび状倒卵形で3稜があり,長さ約3mm。染色体数2n=18。南千島・北海道~九州,朝鮮半島・中国・ウスリーに分布する。和名は立ち上がった花の姿を笠をかぶった踊子の姿に見立てたものである。西日本の低地に産するものは全体大形で花が常に淡紅紫色だが,北日本の落葉樹林下に生えるものは花がやや小さく,汚白色となる傾向がある。

・茎は群がって直立し,4稜があってやや太く,やわらかで,節には長い毛がある。

オドリコソウ(茎・断面)
オドリコソウ(茎・断面)

・葉は卵状三角形~広卵形,上部のものは卵形となり,先は鋭くとがるかまたはやや鈍く,長さ4-10cm,幅3-6cm

オドリコソウ(葉)
オドリコソウ(葉)

・下面の脈上および上面にまばらに毛があり,縁には粗い不斉の鋸歯があり,基部は浅心形で1-6cmの葉柄がある。

オドリコソウ(葉)
オドリコソウ(葉)

・花期は3-6月。花は上部の葉腋に輪散花序をつくり,葉の基部には短柄がある。

オドリコソウ(花序)
オドリコソウ(花序)
オドリコソウ(蕾)
オドリコソウ(蕾)

・萼は長さ13-17mm,裂片の先は針状にとがる。

オドリコソウ(花・断面)
オドリコソウ(花・断面)

・花冠は汚白色~淡紅紫色,長さ2.5-3.5cm。

オドリコソウ(花序)
オドリコソウ(花序)

・花筒は基部で湾曲して立ち上がり,前面がふくらみ、上唇はやや平たいかぶと状で,縁に長い毛がある。

オドリコソウ(花・側面)
オドリコソウ(花・側面)

・下唇は反曲して,側裂片はごく短く先端は小さい突起状となり,中央裂片は大きく開出して2浅裂し,虫の止まる足場をつくり,基部に紫褐色の斑紋がある。

オドリコソウ(花)
オドリコソウ(花)

 雄蕊は4個で下の対が長く,花冠上唇の内側に沿って斜上し,葯室は水平に開出して開口部は直線的に互いに連結し,有毛です。

オドリコソウ(花・断面)
オドリコソウ(花・断面)

 柱頭は2裂しています。

オドリコソウ(柱頭,雄蕊)
オドリコソウ(柱頭,雄蕊)