ニイニイゼミの過去記事を一つにまとめました。
2024年7月31日
歩道にニイニイゼミが仰向けになっていました。死んでいるのかなと拾い上げると,急に暴れ出しました。♀なので鳴きませんでしたが,♂だといわゆるセミ爆弾になるところでした。


北隆館『日本昆虫図鑑』(1956年)にはニイニイゼミについて,次のように書いてありました。(モノクロ手描き図時代の図鑑なので,各部の形状,色彩が詳細です。)
體長20-25mm,同翅端まで33-38mm。體は細かい淡黄色毛で被われている。頭部及び前胸部は主に暗緑色(死後は黄色となることが多い)に黒斑を有し頭頂には不規則な黒帯があり,顔は黒色,中央に縦溝があり,両側には黄褐色の平行線がある。複眼は暗褐色,單眼は紅色,觸角は黒色,口吻は暗黄色,末端のみ黑色。前胸背は側方に扁平に突出し,側角は角をなす。中胸背は黒色,中央のW狀紋・兩側縁・十字隆起は暗緑色,腹背は大部分は黑色。前翅は無色の地に図に見る如き暗褐色及び灰褐色斑があり,脈は暗黄緑色,後翅は黒色,外縁のみ幅広く無色。腹瓣は幅廣くかつ短かく,後縁弧状をなす。本種は本邦に最も普通な蟬の一種で北海道から本邦全部・台灣・朝鮮まで最も廣く分布し,又支那及びフィリッピン諸島にも産する。7月初より出現し,その聲弱くジージーに近く,9月には全く影を没する。
・體長20-25mm,同翅端まで33-38mm。

・頭部及び前胸部は主に暗緑色(死後は黄色となることが多い)に黒斑を有し頭頂には不規則な黒帯があり,

・顔は黒色,中央に縦溝があり,両側には黄褐色の平行線がある。複眼は暗褐色,單眼は紅色,觸角は黒色,口吻は暗黄色,末端のみ黑色。

・前胸背は側方に扁平に突出し,側角は角をなす。中胸背は黒色,中央のW狀紋・兩側縁・十字隆起は暗緑色
胸部の色彩は緑色から橙色,灰色まで変化が多いようです。

・腹背は大部分は黑色

・前翅は無色の地に図に見る如き暗褐色及び灰褐色斑があり,脈は暗黄緑色,後翅は黒色,外縁のみ幅広く無色。

・腹瓣は幅廣くかつ短かく,後縁弧状をなす
本個体は♀なので腹弁はありません。

2022年7月1日
歩道でニイニイゼミが仰向けになって翅をばたつかせていました。飛べないようです。羽化に失敗したのでしょうか,後翅が少し変です。


2022年6月29日
ニイニイゼミがつぶされていました。昨日から岡崎周辺でクマゼミの鳴き声が聞こえています。九条山ではまだセミの声は聞こえません。

2016年7月17日
・ロープにとまったニイニイゼミ。見事に溶け込んでいる。[写真9]

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[写真9]ニイニイゼミ
2015年8月29日

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[写真1]2015/8/3
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[写真2]
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[写真3]洗浄前
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[写真4]洗浄後
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[写真5]腹端(洗浄前)
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[写真6]腹端(洗浄後)
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[写真7]触角
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[写真8]前脚
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[写真9]頭部
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[写真10]中脚
南禅寺参道の擬木に,ニイニイゼミの抜け殻がくっついていました。[写真1]
ニイニイゼミの抜け殻は,小さくて丸っこくて泥だらけなので,すぐにわかります。
アブラゼミやクマゼミの抜け殻に比べると,見かける数はかなり少ないです。
学研『日本産幼虫図鑑』(2005年)には,ニイニイゼミの幼虫について次のように書いてありました。
体は半球形で,光沢のない黄褐色。複眼,腹部腹面以外の体表は全体的に泥で覆われている。触角は8節からなり,第3節は第2節より長い。前脚腿節下面の歯列では,中歯が前歯列と後歯のほぼ中間にある。水分の多い土中に生息し,こねた泥を体で擦りつけて孔道の内壁に塗る。幼虫の動きはきわめて緩慢。幼虫期間は約3年といわれる(卵期間は約40日)。近年の乾燥化で減少する傾向にある。
体についている泥をとると[写真4]のようになります。
体表にはすこし艶があり,アブラゼミの抜け殻と同じような質感です。
「触角は8節からなり,第3節は第2節より長い」とありますが,[写真7]を見ると,触角は9節あります。
ネット上でみつけた,2014年の「神奈川県の都市近郊に産するセミ科6種における脱皮殻形態の数量解析」という論文には,次のように書いてありました。
泥が付着していることが多く,節数が判別しにくいニイニイゼの触角節数は,「8節」であるという報告(加藤,1931;林・石川,2005)がある一方,林(1991)で示されている図では,「9節」と読み取ることができるが,本研究では,双眼実体顕微鏡による観察において,ほぼすべての個体が9節であることが確認された。
一体これはどういうことでしょう。
ニイニイゼミのようなありふれた種の基本的な形態について,つい最近まで誤った知見が広まっていたとは。
セミの研究をする人はあまりいないのでしょうか。
セミの幼虫の雌雄は,腹端に産卵管があるかどうかで判定します。
もちろん産卵管がある方がメスです。
ニイニイゼミの抜け殻は腹端が泥に覆われているため,どちらか見分けがつきません。[写真5]
泥を取り除くと産卵管がありました。[写真6]
メスですね。
[写真8]は前脚。
極端に太くなった腿節,鋭い大きな歯,がっしりしたつくりは,いかにも強力な土掘りマシーンといった感じです。
腿節の中央にある歯が中歯で,「中歯が前歯列と後歯のほぼ中間にある」。
検索表では,中歯がやや前歯列寄りにあるのが「クロイワニイニイ」となっています。
ニイニイゼミの幼虫が,どうして泥まみれなのかという理由が書いてあります。
「水分の多い土中に生息し,こねた泥を体で擦りつけて孔道の内壁に塗る」
こねた泥を自分で体に擦りつけていたのですね。
そうするためには,生息する場所の土は水分を多く含んでいる必要があります。
近年,都市部でニイニイゼミが減少しているのは,土地の乾燥化が原因ではないかといわれています。
2007年7月16日
子どもたちがニイニイゼミを捕まえてきました。
玄関のすぐ前の道路にとまっていたそうです。
ニイニイゼミは梅雨明けに鳴きはじめ,8月中旬ごろまで鳴いています。
日本全国各地に分布し,夏空がひろがると一斉に鳴き始め,夏をしらせる使者です。
私にとっては,子どもの頃の夏休みの記憶と深く結びついて,懐かしいセミです。
保育社「原色日本昆虫図鑑(下)」には次のように書いてありました。
『日本では梅雨あけのころから現れ,6月下旬から9月上旬にかけてみられるが,7月中旬~8月中旬が最盛期である。「チィー………」と連続した声で1日中鳴き,曇天や雨にもあまり左右されない。各地の主に平地や市街地に普通であるが,山地の樹林やかなり高標高の山頂などでもときに鳴き声がきける。』
私が子どもの時分を過ごした福岡県の田舎では,もっとも多いのがニイニイゼミで,次に多いのがアブラゼミ,そして滅多にいなくて,捕るとうれしかったのがクマゼミ(ワシワシと言ってました)でした。
このあたりは山のせいか,ニイニイゼミの声はあまり聞きません。
鳴き声をよくきくセミは,ミンミンゼミとヒグラシです。
九条山ではもともと少ないのかもしれませんが,ネットではいろいろなページでニイニイゼミが減ったということが書かれています。
ニイニイゼミの減少について,1994年の誠文堂新社「カラーアルバム 昆虫 アブラゼミ ニイニイゼミ」に次のように書いてありました。
『最近20年ほどの間にこのセミが大変少なくなってしまった所があります。東京はその代表的な地域の1つでしょう。
初めのうち,それは天敵のオナガやヒヨドリが都心部に進出してきたせいではないかと考えられたりしましたが,これらの鳥はかかわりがあるとしても二次的な役割を演ずるにすぎないことがわかってきました。鳥たちはセミがたくさん鳴いているときはあまり攻撃せず,少ししか鳴いていないとき熱心に”セミ狩り”をするからです。一方で,同じ東京でもミンミンゼミのように増えているセミもいるのです。
都会では舗装がゆきわたり,地下水脈が荒らされ,乾燥化が進んでいるので,幼虫期に地下生活を送るセミの場合,もしそういう環境を好むセミと耐えられないセミがあるとすれば,明暗がはっきりしてしまうのは当然ともいえます。』
2004年7月18日

サクラの木にニイニイゼミがとまっていました。体や羽が保護色になって,みごとに木肌に溶け込んでいます。今年はニイニイゼミが多いような気がします。
2004年7月6日

今日はニイニイゼミの抜け殻がありました。昨日より今日のほうがセミの鳴き声が増えています。こうやって日に日に季節が動いてゆくのですね。でもどうしてニイニイゼミの幼虫だけが泥だらけなのでしょうか。他のセミの幼虫も,同じように土のなかで生活しているのに,泥がついていません。
2003年7月24日

脱皮したばかりのニイニイゼミ。陰になって見えませんが,抜け殻につかまっています。こんな風に地面で脱皮しているのは,はじめて見ました。


