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オオスズメバチ

2012年6月21日

自宅前の草むらに,オオスズメバチが不自然な形で引っ掛かっていました。
ぴくりとも動かず死んでいるようなのですが,もし生きていたらと思うと,素手でつかむ勇気はありません。
恐るおそるピンセットでつまみ上げると,やはり死んでいるようです。
それでも,突然動き出すのではと,きが気でありません。

体長は40mmほどで,体の大きさからすると女王バチです。
外傷などもなく,なぜ死んでいたのか不明です。

北隆館『日本昆虫図鑑』(昭和31年・1956年)には,オオスズメバチについて次のように書いてありました。(原文は旧漢字)

雌 頭部は黄赤褐色,単眼の付近・上腮の先端の大部分は黒褐色。触角は黒褐色,柄節の前面に赤褐色斑がある。胸部は黒褐色で前胸背板の稜縁の不判明な細線・肩板の1端・中胸小楯板及び後胸背板の1対の点斑は暗赤褐色。腹部は背板腹板共に各節の後縁に黄褐色帯斑を有し,尾節にはほとんど全部に及び,第1,2背板では中央に同色の横帯を有する。翅は褐色,前縁濃く翅脈は黒褐色乃至暗赤褐色。頭部はほとんど平滑。体に褐色または黄褐色の細毛を密生し,表面褐色を帯びる。後頭及び胸部には褐色,腹部では黄褐色の長毛を粗生する。体長40mm内外。職蜂は小形で25mm以上である。色彩は個体により変化する。

随分細かく,体の特徴が書いてありますね。
最近の図鑑はカラー写真が載っているためか,これほど細かくは書いてありません。
雌は「体長40mm内外。職蜂は小形で25mm以上である。」
「職蜂」とは,「働きバチ」のことです。

[写真6]は,腹端から出たままになっていた毒針です。
拡大して見ると,鋭利な金属製のナイフのようです。

女王バチの毒針について,以前から疑問に思っていたことがあります。
ハチの毒針は,産卵管が変形したものです。(そのため,雄のハチには毒針がなく,刺すこともありません。)
それなら,女王バチは産卵するために産卵管を本来の役割に使うので,毒針は持たないのではないかということです。
しかし女王バチも刺すことがあるという記述もあるので,巣作りしているどこかの時点で,毒針が産卵管として機能するように変化するのかなと思っていました。

スズメバチの女王が産卵管で産卵すると思いこんでいたのは,キバチが産卵管を木に差し込んで産卵している写真などを見ていたからです。
しかし,これは大きな勘違いでした。
すべての種類のハチが,産卵管を用いて産卵するのではなかったのです。

キバチが属する広腰亜目のなかまは,産卵管は毒針に変化しておらず,産卵管を植物に突き刺して産卵します。
一方スズメバチが属する細腰亜目・有剣類のなかまは,産卵管は毒針に変化してしまっており,卵は毒針のしたにある別の孔から産み落とされるのでした。
スズメバチの産卵シーンを見ると,女王バチは巣の区画に腹端を差し込んでいます。
こうした産卵ならば,産卵管は必要ありません。

小学館の図鑑NEO「昆虫」(2002年)にも,「産卵管と針」として,ちゃんと書いてありました。

ハチの産卵管は,腹部の後ろのほうにあったあしが変化してできたものです。多くのハチでは,その産卵管がさらに変化して,さすための針になり,卵は,針のつけ根のあなから産み出されます。

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