随分前に拾った,何かの頭骨です。
煮沸,洗浄,漂白まではしたものの,バラバラになった下顎や歯はそのまま。いつの間にか十数年経ってしまいました。
しばらくぶりに取り出して,組み立ててみました。

何の骨でしょう。
見つけた場所から考えられるのは,イタチ,ネコ,イヌ,タヌキといったところです。

頭骨から哺乳類の種を検索する図鑑としては,安部永著『日本産哺乳類頭骨図説』(2007年)が良さそうなのですが,京都市立図書館,府立図書館とも所蔵していませんでした。(2015/1/12現在)
ネット上に「日本生息食肉目の7科の検索」というページがあったので,それで検索してみました。

●眼窩下孔での識別
①眼窩下孔が一つ[写真2]
→イヌ科,ネコ科,ジャコウネコ科,マングース科,イタチ科
②眼窩下孔と眼窩との間は5ミリ以下のトンネルで繋がる[写真2]
→イヌ科ではない
③眼窩下孔は裂肉歯の前端より前に位置する[写真3]
→ネコ科,マングース科
④眼窩下孔は円形かやや縦長の楕円形である[写真2]
→ネコ科(カイネコ)

●後眼窩突起と頬骨前頭突起での識別
①後眼窩突起が伸びて頬骨前頭突起と接するか接しそう[写真4]
→ネコ科,マングース科
②完全な眼窩輪は形成されない[写真4]
→ネコ科

●上顎の歯式の大臼歯の数や形での識別
①大臼歯は1[写真5]
→イタチ科,ネコ科
②大臼歯は裂肉歯に比べるとすごく小さい[写真5]
→ネコ科

●聴胞・乳様突起・頚静脈(後頭)突起での識別
①聴胞は卵を半分にした形[写真3]
→イヌ科,マングース科,ネコ科,ジャコウネコ科
②頚静脈突起が明らか
→イヌ科,ネコ科,ジャコウネコ科
③頚静脈突起は聴胞とほとんど合体
→ネコ科,ジャコウネコ科
④聴胞は卵形で外耳孔は聴胞の側面に開く[写真3]
→ネコ科

●口蓋骨と最後位大臼歯の関係での識別
①口蓋骨の後端は最後位の大臼歯とほぼ同じ位置[写真5]
→イヌ科,ネコ科
②口蓋骨は前後より左右が長い[写真5]
→ネコ科

●下顎骨の歯式での識別
①大臼歯は2本以下[写真6]
→マングース科,イタチ科,アライグマ科,ジャコウネコ科,ネコ科
②頬歯(小臼歯と大臼歯)は3本[写真6]
→ネコ科

この頭骨はネコで間違いないようです。