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エダナナフシ♂

2019年9月23日

雨上がりの道をナナフシが歩いていました。[写真16]
この辺りで見かけるのはトゲナナフシが多いのですが,珍しくエダナナフシです。
(トゲナナフシについて→2015年12月8日
体が小枝のように細長くて,触覚が長いのが特徴です。

北隆館『原色昆虫大図鑑』(2008年)のナナフシ科検索表には,次のように書いてありました。

1.中・後脚脛節先端部腹面に三角域をもつ。コノハムシ♀のように幅広く,また平たくならないが,やや幅広で,通常体に刺をもち,稀にこぶをもつ
  ……フトナナフシ科(新称)heteropterygidae
― 中・後脚脛節先端部腹面に三角域をもたない。体は細め …… 2

2.触角は糸状で,中央部分より先は不明瞭な分節となる。触角は前脚腿節より長く,体長より長くなることもある。前脚腿節より短く,明瞭に分節しているときは,各脚腿節の腹縁は平滑。中・後脚腿節の腹側隆起線部は必ずしも均等に鋸歯にならず,通常先端方に数歯もつか,滑らかである
  ……ヒゲボソナナフシ科(新称)Diapheromeridae
― 触角は力強く,分節は明瞭で,通常前脚腿節より短く,この場合,♀の脚部腿節は背側基方寄りにはっきりと鋸歯がみられる。―方,触角が前脚腿節より長く,体長と同じになることはない場合,中・後脚腿節の腹側隆起縁には鋸歯が均等に並ぶ

  ……ナナフシ科Phasmatidae

ナナフシの同定は,中・後脚脛節の先端部(腹面)に溝線で区切られた三角域(端三角部)があるかどうかから始まるようです。
この個体には,[写真4]のように端三角部がありません。
したがって,フトナナフシ科ではありません。

触覚は,[写真5]のように糸状で前脚腿節より長くほぼ前脚と同じ長さです。
触覚の分節は,[写真6]のように基部では明瞭ですが,中央部分より先は不明瞭です。
したがって,この個体はヒゲボソナナフシ科に該当します。

ヒゲボソナナフシ科のエダナナフシについて,同書では次のように書いてありました。

 体長,♂69~75mm,♀82~95mm。棒状。無翅の虫で,触角は長い。本州近畿以西から九州にかけて最も普通なナナフシである。図示したものは♀であるが,♀はその生息する環境に応じて,色彩が変化し,淡褐色のもの,黒褐色のもの,緑色,帯黄緑色のものなどが見られる。♂は極めてその体細く,色彩は一定していて,淡緑色,中・後両胸背には不明瞭な帯赤色側縦帯をもち,脚の膝部は帯黒色である。

 本種は卵で越冬する。孵化は3月下旬から4月にかけて行われ,幼虫は成長して,6月中・下旬には成虫となり,産卵は7月中旬頃から開始される。成虫は11月中旬頃まで生存する。

一般に♀の成虫は活発ではないが,♂の成虫は早く歩行して,あちこち歩きまわり♀を探す。

・体長,♂69~75mm,♀82~95mm。
この個体は♂で,体長75mm。[写真1]
エダナナフシの♂は,頭部に刺が無く(♀には1対の刺がある),腹部の末端が膨らんでいる(♀の腹端は直線的)。[写真2][写真3]

・棒状。無翅の虫で,触角は長い。
[写真1]

・本州近畿以西から九州にかけて最も普通なナナフシである。
今までの17年間で,ナナフシについて書いているのは12回です。
その内11回はトゲナナフシで,1回がエダナナフシでした。
九条山周辺ではトゲナナフシはよく目にするのですが,エダナナフシはあまり見かけません。
しかし見かけないということはいないということではなく,単に人の目に触れにくいということだと思います。

・♂は極めてその体細く,色彩は一定していて,淡緑色,中・後両胸背には不明瞭な帯赤色側縦帯をもち,脚の膝部は帯黒色である。
標本では中後胸背の赤色ははっきりしませんが,生体では淡緑色の体に赤色が鮮やかです。[写真7]
「脚の膝部」というのは腿節の末端のことでしょうか。
各脚の腿節末端は確かに黒くなっています。[写真8]

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