• ソメイヨシノ
  • オオシマザクラ
  • ヤマザクラ
  • 鋸歯
  • 腺体

サクラの葉は散ってしまい,もうほとんど枝に残っていません。

サクラの落ち葉,3種類を比較してみました。
[写真1]はソメイヨシノ,[写真2]はオオシマザクラ,[写真3]はヤマザクラです。

葉の形は微妙に違います。
ソメイヨシノは倒卵形,オオシマザクラは倒卵状だ円形で上半部が幅広く,ヤマザクラは長だ円形です。
3種の中では,ヤマザクラがほっそりし,オオシマザクラは幅広く感じます。

保育社『検索入門 樹木1』(1995年)には,ソメイヨシノの葉の特徴について次のように書いてありました。

1.葉は花のあとに開く
2.若枝・葉の下面・葉柄に毛が散生する
 葉は倒卵形,8~ 12× 3~ 6cm,重きょ歯は鋭い。葉柄は2~ 3cmで腺体は上端にある。樹皮は灰色で横にさける。オオシマザクラとエドヒガンの雑種といわれる。公園などに広く植えられる高木。

オオシマザクラについては,次のように書いてありました。

1.きょ歯は細く鋭くて,先はのぎ状
2.若葉は緑色で,花と同時に開く
 葉は倒卵状だ円形で上半部が幅広く,8~ 13× 5~ 8cm,やや厚く,下面は光沢があって無毛。葉柄は1.5~ 3cmで無毛,腺体は上部にある。小枝はやや太く,灰色。関東南部。伊豆諸島に分布し,庭にも植えられる高木。

ヤマザクラについては,次のように書いてありました。

1.葉柄は赤く,上部に2個の腺体がある
2.若葉は赤褐色で,花と同時に開く
3.へりに単~重きょ歯があり,下面は帯白色
 葉は長い枝には互生するが,短枝には束生する。葉は長だ円形,8~ 12× 3~ 5cm,若いときを除いて無毛。葉柄は2cm内外。小枝は赤褐~栗褐色で無毛。樹皮は紫褐色で光沢があり,横にはげる。山地にはえる温帯・暖帯の高木で新潟県。宮城県以南に分布する。

[写真4]は,3種類の鋸歯を比較したものです。
ソメイヨシノの「重きょ歯は鋭い」,オオシマザクラは「きょ歯は細く鋭くて,先はのぎ状」,ヤマザクラは「単~重きょ歯」。

[写真5]は,ソメイヨシノとヤマザクラの腺体の位置を比較したもの。
ソメイヨシノは「葉柄の上端」,つまり葉の基部にあります。
ヤマザクラは「葉柄の上部」,つまり葉柄の上の方で,上端まではいかないところにあります。