12月10日の皆既月食は,欠け始めから終わりまで,全国で観察できたようです。
欠け始めが21時45分,皆既月食が23時5分から23時58分まで,終わりが25時18分でした。
[写真1]~[写真4]は,欠け始めから皆既月食になるまでの経過です。
(残念なことに,カメラの時刻設定が狂っていて,正確な撮影時刻がわからなくなってしまいました。)
皆既月食の状態は暗いだろうと三脚を準備したのですが,月は空の真上にまでやってきて,三脚を付けたままではファインダーをのぞくことができませんでした。
結局手持ちでの撮影になりました。
月食は,太陽・地球・月が一直線に並び,月が地球の影のなかに入ったときにおきます。
大きな地球の影が月を隠す月食は,地球のどこからでも観察できます。
それに対し,地球の1/4の大きさしかない月が太陽を隠す日食は,観察できるのは地球の一部分に限られます。
日食も,月食も同じくらいの頻度でおきるものなのに,月食の方が日食よりも頻繁におきるように感じるのはそのためです。
地球と月とは,384,400km離れています。
どのくらい離れているか,地球と月の大きさの比率で描いてみると,次のようになります。
これだけ離れているのに,地球の影が月に影響するというのがすごいですね。
地球の影はどのくらいの大きさになるのでしょうか。
月食の始まりが21時45分,終わりが25時18分。
この間の213分間に,月がどれだけ動いたかを計算すると,
1km/秒(月の速度)×12,780秒=12,780km
地球の直径が12,756kmなので,ほぼ地球と同じ大きさの影ができていることになります。
国立天文台のサイトに次の図がありました。
この図の真ん中の円が,地球の影のようです。
月は地球の影の真ん中を通ったのではなく,少し下の方を通ったのですね。
[写真4]の月の下の方が明るくなっているのは,本影の端の方を通ったからでしょうか。
図から,月の大きさと比較すると,本影の直径は月の直径の約2.65倍。
3,474km(月の直径)×2.65=9,206km
地球の7割くらいの大きさということになります。
倉敷科学センターのサイトに,皆既月食の連続写真がありました。
これを見ると,地球の影が円くなっているのがわかりますね。
皆既月食になっても,月は完全に真っ暗になって見えなくなるわけではありません。
赤銅色といわれる,赤っぽい色の満月になります。
赤い色になるのは,太陽の光が地球の裏側から,大気を通して回り込んでくるからです。
太陽の光は大気で屈折します。
屈折した光のうち,波長の短い青色は大気で散乱して月までは届きません。
波長の長い赤色だけが,大気で散乱せず月まで届き,皆既月食の月を赤く照らします。
子どもの頃,わくわくして見た皆既月食が,赤っぽい月になっただけだったのでがっかりした記憶があります。
確かに,皆既月食といっても,皆既日食のように,昼間が突然夜になるといったような,何かとてつもない天変地異がおこるわけではありません。
空を見上げなければ,知らない間に通り過ぎているのかもしれません。
来年の5月21日(月)には,京都でも金環日食が見られます。
朝7時30分頃なので,まっ昼間と違い,感動は薄いかもしれませんが,楽しみですね。