気を付けて見ていると,テイカカズラの花はあちこちで咲いているものです。

以前のエントリー(→2012年6月5日)で書いたテイカカズラは,図鑑に書かれている特徴と違っていて,本当にテイカカズラかどうか分からなくなってしまったのですが,今回のものは図鑑に載っている特徴とよく一致します。

平凡社『日本の野生植物 木本Ⅱ』(1999年)には,テイカカズラの花について次のように書いてあります。

花は5~6月に開き,白色,径2cm内外,終りに近づくと淡黄色をおびる。萼片は狭卵形~広披針形,長さ約3mm,縁にまばらに毛がある。花筒は7~8mmあり,上部3mmほどが太くなっていて中に雄蕊がある。葯はわずかに花喉からのぞいている。

[写真2]を見ると,
・花筒は「7~8mmあり,上部3mmほどが太くなって」います。
花筒の細い部分は広部よりはるかに長いです。
・萼は「狭卵形~広披針形,長さ約3mm」。
拡大して見ると,「縁にまばらに毛」があるのが分かります。
・葯の先は「わずかに花喉からのぞいてい」ます。

[写真3]は,今回の花(左)と前回の花(右)の断面を比較したもの。
太い部分の比率が,今回の花の方がずいぶん小さいです。
葯の先も,今回の花のものの方が,花喉からより突き出ています。
萼の大きさ,形状も違います。

[写真4]は,今回の個体の葉裏(左)と前回の個体の葉裏(右)を比較したもの。
テイカカズラとケテイカカズラを見分ける,最も簡単な方法は,葉裏の毛の有無を見ることです。
葉裏に毛があればケテイカカズラ,なければテイカカズラのはずなのですが,前回のものはケテイカカズラの葉裏とほとんど見分けが付きませんでした。
今回の個体は明確に毛がないのが分かります。
触った感じがすべすべしているのです。
前回のものと並べてみると,はっきりと異なりますね。

テイカカズラにも,裏面に短毛がでる個体があるそうです。
前回のテイカカズラは,典型的な無毛のものではなく,いきなり毛の多い個体にあたったため,混乱してしまいました。

毛の有無だけでなく,前回の個体は,ケテイカカズラと典型的なテイカカズラの中間的な性格を持っていたように思えます。