探すなら,花が咲いている今です。
意識して近所を見て回ると,意外にあっさりと「テイカカズラ」は見つかりました。[写真1]
図鑑に書いてあるとおり,やはり「山野の林に普通」だったのですね。
近縁の「ケテイカカズラ」は見たことがあるものの(→2012年6月1日,2007年6月8日),本家の「テイカカズラ」の方はまだ見たことがなく,近所を探していたのです。
平凡社『日本の野生植物 木本Ⅱ』(1999年)には,テイカカズラとケテイカカズラ,オキナワテイカカズラの見分け方について次のように書いてありました。
A. 花筒の細い部分は広部とはば同長,萼片は長さ5-6mm。葉裏には毛が多い………1.ケテイカカズラ
A. 花筒の細い部分は広部よりはるかに長く,萼片は長さ1-3mm。葉裏は無毛またはときにわずかに短毛がある。
B. 花筒は長さ7-8mm。萼片は広披針形で長さ2-3mm………2.テイカカズラ
B. 花筒は長さ6-7mm。萼片は広卵形で長さ1-2mm………3.オキナワテイカカズラ
[写真4]は,テイカカズラとケテイカカズラの花の断面を比較したもの。
ケテイカカズラは「花筒の細い部分は広部とはば同長」なのに対し,テイカカズラは「花筒の細い部分は広部よりはるかに長」くなっています。
またケテイカカズラは葯の先(写真矢印の部分)が花喉部に達しませんが,テイカカズラは葯の先が花喉部から少し出ています。
テイカカズラとケテイカカズラを見分けるための特徴とされている,葉裏の毛の有無については,両者を見比べてもよく分かりませんでした。
両者を比べても相違がほとんどないのです。
ケテイカカズラの方の毛が少ないのか,テイカカズラの方の毛が多いのか。
(色々と考えている内に,ケテイカカズラと思っているものは,実はケテイカカズラではないのではないかと疑念がわいてきました。ケテイカカズラの萼片は長さ5~6mm,テイカカズラの萼片は長さ1~3mmで,ケテイカカズラの萼片の方が長いはずです。しかし[写真4]を見ると,ケテイカカズラとしているものの方が萼片が短いのです。花筒の特徴はケテイカカズラに合致しているので,多少の違いは個体差と考えていいものなのかどうか……。)
前書には,テイカカズラについて次のように書いてありました。
山野の林にふつうな常緑の藤本。茎は長く伸び,付着根をだして他物にはい上がり,太いものでは径4cmに達する。葉は変異が多く,若木では小さくて長さ1~2cm,幅5~7mm,成木では長さ3~7(~10)cm,幅1.2~2.5(~3.5)cmとなり,楕円形~長楕円形,革質で光沢があり,鋭頭で鈍端,基部はくさび形で長さ3~7mmの葉柄がある。ふつうは無毛であるが,ときに裏面に短毛がでる個体もある。花は5~6月に開き,白色,径2cm内外,終りに近づくと淡黄色をおびる。萼片は狭卵形~広披針形,長さ約3mm,縁にまばらに毛がある。花筒は7~8mmあり,上部3mmほどが太くなっていて中に雄蕊がある。葯はわずかに花喉からのぞいている。袋果は細長く,長さ15~25cmで多少湾曲してぶら下がり,ふつう2個が対をなすが, 1個だけのこともある。種子は長さ12~14mm,先に長さ2.5cm内外の白い長毛がある。本州・四国・九州,朝鮮こ分布する。
・葉は「変異が多」い
同じ個体の葉でも,ついている箇所によって大きさにかなりの差があります。
・花は「白色,径2cm内外,終りに近づくと淡黄色をおびる」
テイカカズラの花とケテイカカズナの花を並べると,テイカカズラの方が一回り小さいです。[写真5]
テイカカズラの花は「終わりに近づくと淡黄色をおびる」ので,すこし汚れて見えますね。
ケテイカカズナの花は古くなっても白いままでした。