テイカカズラの花が咲いていました。[写真1]
といっても,これはケテイカカズラという種類です。
藤原定家に因む「定家蔓」という優雅な名前も,「毛」がつくだけでずいぶん位が下がった感じがしますね。

平凡社『日本の野生植物 木本Ⅱ』(1999年)には,テイカカズラとケテイカカズラ,オキナワテイカカズラの見分け方について次のように書いてありました。

A. 花筒の細い部分は広部とはば同長,萼片は長さ5-6mm。葉裏には毛が多い………1.ケテイカカズスラ
A. 花筒の細い部分は広部よりはるかに長く,萼片は長さ1-3mm。葉裏は無毛またはときにわずかに短毛がある。
 B. 花筒は長さ7-8mm。萼片は広披針形で長さ2-3mm………2.テイカカズラ
 B. 花筒は長さ6-7mm。萼片は広卵形で長さ1-2mm………3.オキナワテイカカズラ

[写真4]は,花を縦に切った断面です。
花筒は上が太く,下が細くなっており,その長さはほぼ同じ割合です。
[写真6]は,葉裏を拡大したもの。
毛が密生しています。

同書には,ケテイカカズラについて次のように書いてありました。

常緑藤本。若枝,花序,葉裏には毛が多い。葉は長楕円形~楕円形,長さ4-8cm,幅2-5cm。花は白色, 5-6月ごろに開き,径2-2.5cm。萼片は長さ5-6mm,長楕円形で先がすこし幅広く,まばらに毛がある。花筒の狭部は長さ3-4mmで広部とほぼ同長,花喉部にはふつう毛がある。雄蕊の葯の先は花喉部に達しない。袋果は長さ10-15cm,相対する2個がほぼ直角に近く開く傾向がある。本州(近畿地方以西)・四国・九州・琉球,朝鮮・中国に分布する。

・葉は「長楕円形~楕円形,長さ4-8cm,幅2-5cm」[写真5]
対生で全縁です。
常緑樹なので,分厚く革質です。

・花は「白色, 5-6月ごろに開き,径2-2.5cm」[写真3]
花冠は5裂して,裂片は片巻状に重なっています。
かなり強い芳香があります。

・花喉部には「ふつう毛がある」
花喉部(かこうぶ)とは花筒の入口のことで,[写真3]を見ると花の中心にある花喉部に毛が生えているのが分かります。

・雄しべの「葯の先は花喉部に達しない」
雄しべは5個で,葯は柱頭と合着しています。
ケテイカカズラは葯の先が花喉部に達しません[写真4]が,テイカカズラは葯の先が花喉部から少し出ています。