大文字送り火の消し炭を使った,注連縄飾り。
大きな消し炭を半紙に包み水引を掛けただけのもの[写真2],注連縄飾りと一体化させたもの[写真1],祇園祭の厄除けちまきと一緒に飾ったもの[写真3]など,色々な飾り方があります。
半紙には「上」とか「大」とか書いてあるものもあります。
この注連縄飾りは,銀閣寺門前にある家々のものです。
もともと五山送り火の残り炭は,半紙に包み軒下に吊るしておくと魔よけになるといわれており,送り火の翌日には早朝から火床に残った炭を拾いに行く人でにぎわいます。
大きな炭はなかなか残っていないものですが,さすがに地元だけあって,大きな残り炭が手に入るようです。
大きな炭でないと,なかなか正月飾りには使えないですよね。
注連縄に炭を使う風習が他の地域にもあるのか,ネットで探してみると,以外にも沖縄で使われていました。
沖縄では,炭を昆布で巻いたものを注連縄に飾るようです。
炭には「いつまでも朽ちないように,タンと喜びがあるように」との意味があるとか。
その他の地域では,炭を飾るというのは一般的ではないようです。
(→注連縄(2010年1月5日))
門松にも炭を飾る習慣があるようで,小学館『日本大国語大辞典』(1980年)には,「かざりすみ(飾炭)」の項目に次のように書いてありました。,
①正月,門松に炭を結びつけて飾ること。また,その炭。邪悪を避けるために飾るといわれる。
ちなみに,京都の門松は[写真5]のような「根引松(ねびきのまつ)」が一般的です。
(→根引松(2010年1月1日))
[写真6]は,最近建てられた家の門前(この扉は玄関の扉ではなく,門の扉です。豪邸!)に飾られた門松。
竹で巻かれているのが関西風です。(関東風は藁で巻かれています)
(→門松(2010年1月13日))
茶道では,正月に鏡餅の代わりに炭を三方にのせて飾ることがおこなわれています。
『角川茶道大事典』(1990年)には,次のように書いてありました。
飾り炭【かざりずみ】 茶湯を行うにはなくてはならぬ炭の恩を思って,正月の鏡餅の代わりに茶人は炭を三方に載せて飾る。流儀や家風によって種々異なるが裏千家では蓬莱飾りと称して,大三方に洗米九合を敷きその上に長胴炭二本並べ,上に輪胴を載せ,これを鏡飾りとみなして,昆布・橙・鮑熨斗・干柿などを載せて飾るのをいう。