今朝(2013/6/12),羽化前のヤゴが石垣にへばりついているのを見つけました。[写真1]
というのも,先日,羽化途中のコオニヤンマを見つけてから(→2013年6月8日),ヤゴがいないか気をつけて見るようにしていたのです。

這い出してきて,それほど時間がたっていないのか,体がまだ濡れています。
家に持ち帰り,羽化を観察してみました。

最初はチョウを羽化させた経験から,細い木の枝に登らせようとしたのですが,登ろうとしません。
よく考えたら,発見した場所では枝ではなく壁を登っていました。
枝ではなく壁にしなければと思い,段ボールで壁をつくり登らせてみました。
しかし這い上がるものの,てっぺんまで登り詰めては落ちる,また登らせる落ちる,あちこち動き回るを繰り返し,ようやくてっぺんで体を落ち着かせました。
(段ボールを使用したのは,結果的に適切ではなかったように思います。滑らかな表面に,ヤゴは爪がかかりにくく,体を固定するのに苦労していました。写真うつり的にも,段ボールではなく,もう少し太い木の枝とかにした方がよかったかなと思っています。)

7時13分のヤゴ発見から3時間ほど経った,9時58分にようやく羽化が始まりました。
小さな翅の間が左右に割れて,内部からゆっくりと膨張するように,白っぽい背中が盛り上がってきます。
このへんは,セミの羽化に似ています。(→クマゼミの羽化
チョウの羽化では,蛹の背中が割れたかと思うと,あっという間に成虫が這い出してきます。(→キアゲハの羽化

大きな複眼をもつ頭が出てきて,肢が出てきて,徐々にトンボの体がせり出してきます。[写真3]
この時気づいたのですが,体に白い糸のようなものが。
落ちないように体を支えているのかなと思ったのですが違うようです。
気管の脱皮殻だとか。

羽化開始から5分かけて全ての肢が殻から抜けました。
ここでしばらく動きが止まります。[写真4]
羽化途中に休息が入るのは全てのトンボに共通するようで,肢が固まるのを待っているそうです。
この時の姿勢に2種類あり,トンボの種類によって決まっています。
反り返らずに直立しているものを「直立型」,反り返るように仰向けになるものを「倒立型」といいます。
コオニヤンマは「直立型」ですね。

15分ほど休息した後,前肢をつくと[写真6],残りの腹を引き出しました[写真7]。
皺くちゃに縮んでいた翅の,細かい脈の一本一本に体液が送り込まれ,その圧力で根元からしだいに広がってゆきます。
腹にも,羽化前に吸収した水と,吸い込んだ空気が送り込まれ,しだいに伸びてゆきます。

30分ほどで翅と腹は伸びきり,余った水を腹端から捨て始めました。
肛門水というそうで,ポトリポトリと透明な水滴となって落ちています。

羽化開始から1時間20分が経った11時21分,翅を開きました。
さらに30分経った,11時54分飛び立ちました。

・7:13 ヤゴを発見
・9:58 羽化開始
・10:03 全ての肢が抜ける。動きが止まる。静止期
・10:17 前足をつく
・10:17 体全体が抜ける
・10:32 ほぼ翅が広がる。
・10:46 腹の伸びとまる。腹端からしずく(肛門水)
・11:21 翅をひらく
・11:54 飛びたつ