疏水の石垣で見つけた羽化直前のヤゴは,昨日までで3頭になります。(6月5日12日,17日)
羽化したのは,いずれもコオニヤンマのメスでした。

これらの個体がコオニヤンマで間違いないかどうか,北海道大学図書刊行会『原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑 』(1999年)に載っている検索表を使って,順番に検索してみました。

① 前翅と後翅の形が違う。翅に三角室がある。[写真1]

トンボは,前翅と後翅の形によって,大きく均翅亜目と不均翅亜目の2種類に分けられます。
前翅と後翅の形がほぼ同じで四角室があるのが,均翅亜目。
前翅と後翅の形が異なり,三角室があるのが,不均翅亜目。
→不均翅亜目に該当

② 翅の三角室は,前・後翅とも同じむき。[写真1]
エゾトンボ科・トンボ科は,前翅と後翅では三角室の向きが違います。
→ヤンマ科かサナエトンボ科かオニヤンマ科かムカシヤンマ科である

③ 複眼が離れている。[写真2]
二つの複眼が広く接していればヤンマ科です。
→ヤンマ科ではない

④ 下唇中片の中央に裂け目がない。[写真3]
  翅の縁紋は中央の幅が広くなっている。[写真4]
  産卵弁がある。[写真5]
→サナエトンボ科(15属)である

⑤ 翅胸部背隆線に黄白部があり,襟条とつながっていない。[写真6]
→アオサナエ属かホンサナエ属かオナガサナエ属かコオニヤンマ属である

⑥ 翅胸部前面の紋はほぼ平行[写真6]
  尾部上付属器が短く,黒色(♂)
  尾毛が黒色(♀)[写真5]
→コオニヤンマ属(1種)
 コオニヤンマ

以上のとおり,コオニヤンマ(♀)で間違いないようです。