サクラが満開です。
メジロが花の蜜を吸っていました。
花を切り落としてしまうスズメと違って,行儀よく蜜だけを吸うメジロは受粉に役立っているような気がするのですが。(サクラの花を切り落とすスズメ→2008/4/3)
実のところはどうなのでしょうか。
調べてみると,意外にもサクラは虫媒花というより鳥媒花に分類されているようです。
医学生物学電子顕微鏡技術学会編『花粉の世界をのぞいてみたら』(2012年)の分類では,次のようになっていました。(以下,引用は同書)
動物媒花
虫媒花:ツリフネソウ,ユリ,ヤツデ,クサギ
鳥媒花:サクラ,ツバキ,ウメ,ヤッコソウ
コウモリ媒花: リュウゼツラン,ゲッカビジン
その他:バンクシア
流体を媒体にする花
風媒花:スギ,ススキ,ハンノキ,カナムグラ
水媒花:アマモ,クロモ,セキショウモ
同花受粉花
開放花:タチイヌノフグリ,ハコベ,オシロイバナ
閉鎖花:ミゾソバ,イヌムギ,ホトケノザ
ただし,それぞれの植物が媒体を一つだけ選んでいるのではなく,複数の媒体を利用していることが多い。
ツバキはヒヨドリが受粉の媒体となっていることはよく聞きますが,サクラやウメも鳥媒花に分類されているのですね。
日本で媒体となる鳥は,ヒヨドリとメジロ,メグロの3種だけのようです。
蜜を吸って花粉を運ぶ鳥は,メジロ,ヒヨドリ,それに小笠原諸島にいるメグロである。その他にウソやスズメ,シジュウカラ,帰化鳥のワカケホンセイインコなども花に来るが,花を食べてしまうか,ちぎって蜜を吸うので,花にとっては迷惑な鳥である。
昆虫が目覚める早春から春に移り変わろうとするとき,サクラの花は花期を迎える。がく筒の部分に多量の蜜を分泌して鳥を誘う。鳥たちは枝に止まり首を伸ばして蜜を吸う。そのとき花粉はくちばしについて運ばれるのだ。しかしそのように振舞うのはメジロとヒヨドリだけで,シジュウカラはがくに穴をあけ,スズメやワカケホンセイインコは花を食いちぎって蜜を吸う。だが,サクラはこの迷惑な行為を防ぐ手立てを持っていない。
鳥は赤い色彩を好むために,ヒマラヤ原産のカンヒザクラは赤い花弁を付け,ヤマザクラは花の上に,赤い新葉をかかげている。