苔に覆われた地面から,さんご状に細かく枝分かれした,白いキノコが生えていました。[写真1]
図鑑で調べてみると,カレエダタケのようです。

『山渓カラー名鑑 日本のキノコ』(1988年)には,カレエダタケについて次のように書いてありました。

カレエダタケ属。子実体は高さ3~8cm,樹枝状に枝分かれするが,枝は短く,分岐は不規則で,特に上端には細かい枝が集合してとさか状をなす。全体は白~灰白色~淡灰褐色など。肉は白く,もろくない肉質。胞子は類球形。林内の地上に群生。普通。無毒。日本(全土),広く温帯に分布する。

・子実体は高さ3~8cm
この個体は高さ約7cm。[写真5]

・上端には細かい枝が集合してとさか状をなす
[写真3][写真4]のように,細かく枝分かれした上端はさらに細かく枝分かれし,とさか状になっています。

・肉は白く,もろくない肉質
[写真6][写真7]は,縦に切断した断面。
肉質はしっかりしていて,切断面の感じはハナビラタケに似ています。
ハナビラタケと同様に食用になりそうな感じがするのですが,「無毒」とあるものの,「食用」とは書いてありません。

「枯れ枝」茸というのは,枯れ枝に生えるからではなく,見た目が枯れ枝のようだというところからきているようです。
英語ではCrested coral(とさか状のサンゴ)といい,枝分かれした上端がとさか状になることに由来します。
東洋書林『世界きのこ大図鑑』(2012年)には,次のように書いてありました。

カレエダタケ(Clavulina)属は林地のきのこで,生木の根と外生菌根を作る。なかでもカレエダタケはとりわけ発生度の高い種のひとつだが,色や形はかなり変化に富む。古い本では種名がClavulina cristataとされているが,これはよく枝先が「cristate」―羽毛状またはとさか状―になるからで,英名もこの特徴に由来する。子実体は,これに特化したHelminthosphaeria clavariarumという核菌類に,とてもよく寄生される。この核菌類はカレエダタケを徐々に灰色に変え,ルーペで観察すると,その微小な子実体が小さな黒い点として見えることがある。

核菌類が「とてもよく」寄生して,カレエダタケを徐々に灰色に変えると書いてあります。
[写真8]のように,先端が黒くなっているものがあるのですが,これが核菌類の寄生によるものなのかどうかはわかりません。