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[写真1]2016/7/5
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[写真2]
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[写真3]
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[写真10]
迷い込んだトンボが,外に出られなくなっていました。[写真1]
虫を惑わす,いつもの窓トラップです。(→2016年6月20日)
黄色と黒の縞模様,翅の根元には黒褐色斑,体長55mm,♀。[写真2]
ネキトンボ,コシアキトンボ,エゾトンボと迷走しながら,やっとオオシオカラトンボ(♀)にたどりつきました。
と,ここで,衝撃の事実が判明。
オオシオカラトンボ(♀)は,既に2度もこのブログでとりあげていたのです。(→2013年7月17日,2009年8月20日)
その時も,苦労して調べたはずなのですが,覚えていないものですね。
前2回とも,今回と同じく家の中に迷い込んできたものです。
オオシオカラトンボは夏に発生し,未熟な個体は林の中で過ごすそうなので,近くの川で発生した個体が,家の周辺を徘徊していたものと思われます。
東海大学出版会『日本産トンボ幼虫・成虫検索図説』(1988年)には,オオシオカラトンボの生態について次のように書いてありました。
平地や丘陵地,低山地の樹林の緑にある池沼や湿地,水田,ゆるやかな流れの溝川などに生息する。成虫は東海地方では5月中旬から出現して10月末頃まで,八重山諸島では3月下旬から11月末までみられる。ややうす暗い小水域を好む性質が強く,明るく広々とした水域が好きなシオカラトンボとかなり明確にすみわけている。未熟な個体は近くの林域で生活し,成熟した♂は水辺の挺水植物や樹の枝などに止まって縄張りを占有する。
前回は同書の検索図をたどってみましたが,今回は北海道大学図書刊行会『原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑 』(1999年)に載っている検索図をたどってみました。
①前翅と後翅は違う形。三角室がある。[写真4]
→不均翅亜目
②翅の三角翅は,前翅と後翅の向きが違う。[写真4]
③頭部複眼後側縁は,屈曲部がなくなめらか。[写真5]
→トンボ科
以上のとおり,トンボ科であることはすんなりと判明します。
しかし,これから先の検索がすっきりとしません。
④体長で3分類に分けます。
本個体は体長55mmなので,32mm以上の分類へ。[写真3]
⑤腹部の色が「黒色で第3,4節に♂は乳白色部が,♀は黄色部がある」ならコシアキトンボ
「黒色でないか,黒色でも第3,4節に乳白色部も黄色部もない」なら次へ。
[写真6]のように,この個体の腹部は黒色で,第3,4節に黄色部があります。
検索表でゆくと,コシアキトンボ(♀)ということになるのですが,似ているものの違います。
シオカラトンボ属は「黄色部がない」を選んだ先に出てきます。
腹部の色はあくまでも「黒色でなく」黄褐色で,黒色の班があると理解するようです。
⑥後翅の肛角は内側に広がるが,大きくは広がらない。
[写真4]
⑦後翅に橙褐色紋がない。
(淡橙褐色紋があればアメイトトンボ)
⑧翅に黒褐色紋がない。
(黒褐色紋があればヨツボシトンボ属)
⑨腹部の斜隆条は第2,3節にあり,第4節にはない。
(第2~4節にあればコフキトンボかヒメキトンボ)
[写真6]を見ると,第4節にも斜隆条っぽいものがあるのですが……
⑩頭部複眼の大きさ a:b≒1:1.8
腹部は細くなく,全体が淡褐色でない。
(a:b≒1:1.2,腹部が細く全体が淡褐色ならばオオメトンボ属)
a:bは,[写真7]を測ると,1:2.2になるのですが……
⑪前額が白色でない
翅縁紋外側の翅脈が白色でない
(前額が白色で,翅縁紋外側の翅脈が白色ならば,カオジロトンボ属)
[写真]
⑫前額が藍色でない
(前額が光沢のある藍色ならば,アオビタイトンボ)
[写真7]
⑬翅胸部側面の黒色条の先端が後方に流れない
(黒色条の先端が後方に流れるような形なら,ベニトンボ)
[写真8]
⑭前胸後縁に長毛が密生する
[写真5]
⑮前翅結節前横脈の数が11~19本
♀の腹部第8節下縁が広がる
[写真4][写真6]
→シオカラトンボ属