ノコギリカミキリの過去投稿を一つにまとめました。
2025年7月7日
たて続けに,カミキリムシが地面にひっくり返っていました。
脚を激しくばたつかせているので,2頭とも砂埃で真っ白です。


どちらも全身まっ黒で,ノコギリのようなギザギザの触覚があります。
ノコギリカミキリだろうと思いますが,すぐに断定はできません。
よく似たニセノコギリカミキリもいるからです。
この2頭はどちらでしょうか。
・先ず,この2頭は♂と♀です。
♂は腹端が翅端を超えませんが,♀は腹端が翅端から突き出ています。




体は♀の方が明らかに大きいです。


・ノコギリカミキリとニセノコギリカミキリの♀には,識別しやすい相違点があります。
ノコギリカミキリの♀は触覚が12節あるのに対して,ニセノコギリカミキリの♀は11節です。
この♀個体は触覚が11節なのでニセノコギリカミキリだと分かります。

ニセノコギリカミキリの前胸背板は(ノコギリカミキリに比べて)光沢が鈍い,という特徴とも合致します。

・それに対して♂はどちらも12節なので,節数だけではどちらとも判別できません。


・前胸背板は♀同様,ニセノコギリカミキリは(ノコギリカミキリに比べて)光沢が鈍いです。
この♂個体は明らかに光沢が強いのでノコギリカミキリだろうと思います。

・前胸背板の光沢は相対的なものなので,確実な識別点は後脛節の上縁に縦溝があるかどうかです。
縦溝があればノコギリカミキリ,なければニセノコギリカミキリになります。
ところがこの縦溝の識別がやっかいです。
黒くて細い脚に溝があるのかどうか見極めるのは難しい上に,側面にも凹みがあるので紛らわしいです。
図鑑にある「後脛節の上縁の縦溝」がどの部分をさすのかはっきりしないのですが,今回ニセノコギリカミキリと確定した♀の標本があるので,比較してみました。
これを見ると少なくともニセノコギリカミキリの方には,溝がないことがはっきりわかります。


2021年6月17日
(3)歩道にノコギリカミキリが仰向けになって,脚をばたつかせていました。ひっくり返してみると,誰かが踏みつけたらしく腹部がつぶれていました。黒くて細長くて少し照りのある体は,ゴキブリに間違われたのかもしれません。(南禅寺)

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[写真3]ノコギリカミキリ
2018年8月4日
(7)地面を走りまわっていたノコギリカミキリ。ノコギリカミキリは木にいるときにはじっとしているが,地面にいるときには本当によく動きまわる。(九条山)

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[写真7]ノコギリカミキリ
2016年6月26日

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[写真1]2016/6/6
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[写真2]
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[写真3]
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[写真4]上面
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[写真5]下面
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[写真6]
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[写真7]触角
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[写真8]
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[写真9]
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[写真10]
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[写真11]脛節
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[写真12]跗節
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[写真13]跗節
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[写真14]翅
サクラの幹に,ノコギリカミキリがいました。[写真1]~[写真3]
じっと動きません。
樹皮をかじっているのかなと思ったのですが,そうではないようです。
夜行性なので,身をひそめているだけだったようです。
ノコギリカミキリは触角から脚先まで全身が黒色ですが,これは夜行性であることと関連があります。
東海大学出版会『日本産カミキリムシ検索図説』(1992年)には,次のように書いてありました。
成虫の活動は,おおまかに昼行性と夜行性に分けられるが,この習性は亜科や族,属レベルで,ある程度の傾向が認められ,さらに成虫の外部形態の違いに現われる場合が多い。例えば,昼行性の種が色彩や斑紋パタンがあざやかである場合が多いのに対して,夜行性のものは黒色や褐色の地味な色調をしている。
♂♀の違いは,
・♂の触角は,♀より太くて長い。
・体は♀のほうが大きい。
・♀の腹端は翅端をこえている。
この個体は,腹端が翅端を超えていないので♂です。(♀→2007年6月16日)
同書の検索表で,ノコギリカミキリまでたどってみました。
①========================
大あごの先端はとがる。触角は大あごから離れてつき,第1節は太くても,ほかの節の2倍以下。
[写真8][写真7]
該当するので,カミキリムシ科です。
触角が大あごの基部に付いているのはホソカミキリムシ科です。
②========================
頭は斜め前方に向く。小あごひげの先端は裁断状。
[写真2]「写真9]
カミキリムシの頭部は,前頭が斜めで大あごが前にのびる前口式のものと,前頭が垂直で大あごが下に向く下口式のものに分かれます。
顔面を横から見ると,斜め前方に突き出していて,前口式です。
下口式のものは,フトカミキリ亜科になります。
③========================
前胸の側縁は角稜になる。中胸背板には発音板がない。
[写真6]
「前胸の側縁は角稜になる」の意味がよく分かりません。
横に張り出して鋸歯になっている部分のことを言っているのでしょうか。
とりあえず該当しているとして,次に進みます。
④========================
肢の跗節は擬4節で葉片状になる。
[写真12][写真13]
本来は跗節は5節からなりますが,第4節が小さくなって全体が4節に見えるものを,擬4節といいます。
該当するので,ノコギリカミキリ亜科です。
⑤========================
後胸前側板は平行で後方に向かって狭まらない。
[写真10]
該当するので,次に進んで
⑥========================
前胸の両側に顕著な2歯がある。
[写真6]
該当するので,ノコギリカミキリ族です。
⑦========================
大あごは長くなく,外縁がまるい。ほおは先端がとがらない。
カミキリムシに頬があるなんて奇妙な気がしますが,一般に昆虫の複眼の下方,前頭の後方にあたる部分を頬といいます。
[写真8]
該当するので,ノコギリカミキリ属(2種)です。
⑧========================

後肢脛節上縁に溝状のくぼみがあるかどうかで,ノコギリカミキリとニセノコギリカミキリに分かれます。
後肢脛節には側面にもくぼみがあり,「上縁の溝状のくぼみ」というの分かりにくいのですが,多分[写真11]の箇所だと思います。
また,同書の解説にはノコギリカミキリとニセノコギリカミキリの違いについて,次のように書いてありました。
ノコギリカミキリ
触角は雌雄ともに12節。後脛節の上縁に縦溝があり,前胸背板は光沢が強い。
ニセノコギリカミキリ
触角は雄が12節,雌は11節。後脛節の上縁に縦溝がなく,前胸背板は光沢が鈍い。
[写真6]にあるように,この個体は前胸背板の光沢が強く,ノコギリカミキリで間違いないようです。
でもそうなると,今度はニセノコギリカミキリを見てみたい気持ちがおこってきますね。
勝手にニセモノ扱いされて,ニセノコギリカミキリも迷惑な話ですが,希少性からいえばニセノコギリカミキリの方が価値があるのかもしれません。
2007年6月16日
ノコギリカミキリの雌が地面の上でじっとしていました。[写真1]
何をしているのでしょうか。
ノコギリカミキリの名は,触角が鋸歯状になっていることに由来します。
雄の触覚の方が雌よりも太くて,よりノコギリを連想させます。
[写真3]の上は今回の雌の触覚。下は雄の触覚。
北隆館「日本昆虫図鑑」(昭和31年版。すこし古いですが)によると
『触覚は12節で鋸歯状,第3節最も長く,各節は点刻されるが第8節以下のものは血脈状の皺襞となる。雌の触覚は細く体半を少しこえる程度であるが雄は太くて長い。』
雄と雌の違いは,触覚のほかに
・体は雌のほうが大きい。
・雌の腹端は翅端をこえている。
ノコギリカミキリを手に持つと,キーキーと鳴きます。
シロスジカミキリなどの大形のカミキリは,前胸と中胸をこすり合わせて音を出しますが,ノコギリカミキリの音を出すしくみはすこし違います。
後肢の腿節を上翅のふちにこすって音を出します。[写真2]
でも,この音を出すしくみは自然界で役にたっているのでしょうか。
ノコギリカミキリを手にもつと,はげしく肢をばたつかせるので,後肢と上翅のふちがこすれ合わさって,偶然に音がでているような気がします。
自然界で音を出すとすれば,木にとまった姿勢で,肢を動かすか体を上下させるとかしているのでしょうか。
鳴く虫はたくさんいますが,ほとんどは雄だけしか鳴かず,雄が雌に自分のいる場所をしらせていると考えられています。
ノコギリカミキリの音は,雄も雌も出します。
なんらかのコミュニケーションの手段として音を使っているのだとしたら,音を感じる器官がどこかにあるはずですよね。
ノコギリカミキリにそうした器官があるのでしょうか。
捕まえたノコギリカミキリを少しの間タッパーにいれておいたら,いつの間にか3mm程の大きさの,黄色い長楕円形のものが2個あるのに気づきました。[写真4]
卵でしょうか。かわいそうなので,すぐに離してやりました。
2005年6月30日

交尾しながら落ちるノコギリカミキリ。カサカサと落葉をかき分けて,何かが動く音がします。草むらから出てきたのはノコギリカミキリの番でした。オスがメスの上に乗っかっているのですが,メスは嫌なのか逃げ回っています。あっちこっち動き回って,石の上から落ちたのが,この場面です。オスはまだ,しっかりとしがみ付いていました。(実はこの写真以外は,動くのが早すぎてピンボケでした。)
2003年6月22日

道にノコギリカミキリがひっくり返っていました。触覚がギザギザしているのでノコギリカミキリの名がついています。触覚は他のカミキリムシに比べて短く,もう少し長いほうが格好いいと思うのですが。



