• ウワミズザクラ
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ウワミズザクラが,あちらこちらで花盛りです。
普段は目につかないのですが,東山には意外にウワミズザクラの木が多くあります。

花軸に白い花がたくさん集まって咲き(総状花序),コップを洗うブラシのように見えます。[写真1][写真2]
サクラの仲間なので,一つひとつの花は,サクラの花に似てないこともないですが[写真3],咲いている様子はサクラには見えません。
[写真4]は,花を縦に切った断面。

違和感のもとは,雄しべが長すぎることでしょうか。
花弁の長さの1.5倍から2倍くらいあります。
ソメイヨシノやヤマザクラの花では,雄しべは花弁よりずっと短く,花の中心に上品におさまっています。

[写真5]は,ウワミズザクラの樹幹です。
こう見ると,やはりサクラの仲間ですね。

夏になると実が熟し黄色くなり,のちに黒くなります。[写真6]

『牧野新日本植物図鑑』(1970年)には,ウワミズザクラについて次のように書いてありました。

4~5月頃,小枝の先に長さ10cm,幅2cmぐらいの総状花序を出して多数の有柄の小形の白色花を密生して開く。がくは広いつりがね型で無毛。浅く5裂し,裂片は小形の三角状で全縁,内面に毛布状の毛があり,雄しべとともに花托から脱落する。花弁は5,倒卵形,水平に開き,後にはそりかえる。雄しべは多数で花弁よりもずっと長い。核果は楕円状球形。鋭頭,はじめ黄色に熟し,後には黒くなる。長さ9~7mm。未熟で緑色のものを塩漬けにして,食用とする。

名前の由来については,次のように書いてありました。

ウワミゾザクラ(上溝桜)の転訛したものである。昔亀甲で占いを行う時,この材の上面に溝を彫って使ったので上溝という。ハハカは古名,コンゴウザクラは, ハハカ,ホウカ,ホウゴウサクラ。コンゴウザクラの順に転訛したもの。

『朝日百科 植物の世界』(1997年)には,名前について次のように書いてありました。

シカの肩甲骨の裏側に溝をつけて焼く古代日本の占いでこの木が燃やされたため,「占(うら)(裏)溝桜(みぞざくら)」とよばれるようになり,それが転じたのが現在の和名とする説がある。