2023年10月16日
道にクマバチが死んでいました。お尻から針が出たままになっています。
有剣類の刺針は産卵管が変化したものなので,刺針を持っているのは♀だけです。
クマバチも♂には刺針がなく,刺すこともありません。
クマバチの♂と♀は,顔面に黄色い模様があるかないかでも見分けられます。
両眼の間に三角形の黄色い模様があるものが♂で,ないものが♀です。
この個体も顔面に黄色い模様がありません。
♂の頭盾,頭盾上区は黄色くなっています。
死んでいると思っていたのですが,触覚をわずかに動かしました。完全には死んでいなかったようです。結局,黄色い舌を伸ばして動かなくなりました。以前にも,舌を出したまま死んでいるクマバチがいました。他の虫でも,刺針や性器を出して死んでいることがありますが,何か理由があるのでしょうか。
2023年4月14日
コマルハナバチとクマバチが道にうずくまっていました。今の時季は寒暖差が激しく,朝の寒さに体が動かなくなるようです。どちらも体は黒色と黄色のツートンカラーで,丸っこい体に短い毛が密生しています。クマバチは背中(胸部)が黄色く,コマルハナバチは腹部の先端がオレンジ色をしています。
このクマバチの両眼の間には三角形をした黄色い模様があるので雄であることがわかります。ハチのなかまの多くは,雄は秋に交尾すると死んでしまうのですが,クマバチの雄は越冬して春に交尾します。
雄の触覚は13節あり(雌は12節),第1節が黄色くなっています。
このコマルハナバチの触覚は12節あるので雌です(雄は13節)。今の時季にいる雌は越冬した女王バチです。女王バチは雌の働きバチより2倍ほど大きな体をしています。
2022年7月24日
八重咲ムクゲにクマバチがとまっていました。密集した花びらを掻き分けて,中に潜り込もうともがいています。体が花粉だらけです。
2022年6月10日
クマバチがキボウシの花にやってきましたが,体が大きすぎて吸蜜することができません。花冠筒に抱きついて盗蜜していました。
2019年9月14日
クマバチが死んでいた。両眼の間に黄色い模様がないので♀。(九条山)
・クマバチの雌雄について→2016年5月3日
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[写真21]クマバチ♀
2019年8月9日
歩道にクマバチが死んでいた。(岡崎)
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[写真13]クマバチ死骸
2019年5月11日
クマバチが死んでいた。よく見ると,アリが1匹噛みついている。
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[写真20]クマバチ
2018年6月3日
クリの花(雄花序)にクマバチがとまっていた。長く垂れ下がった雄花序は風媒花を思わせるが,強い匂いで虫を呼び寄せている。
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[写真3]クリの花
2018年5月22日
■クマバチが死んでいた。雄雌は確認し忘れた。
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[写真63]クマバチ
2018年5月27日
・地面にとまっていたクマバチ(キムネクマバチ)。越冬した個体と思われる。顔面に黄色い模様がないので,♀。(インクライン)
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[写真20]クマバチ♀
2016年5月3日
路上にハチが死んでいました。[写真1]
黒いずんぐりした体に,胸部を覆うふさふさとした黄色い毛。
クマバチです。
枯木のなかで長い冬を過ごし,ようやく外の世界に出てきたばかりなのに。
クマバチは顔面の模様で♂♀を見分けることができます。
両眼の間に三角形の黄色い模様があるものが♂で,ないものが♀です。
この個体は♂ですね。[写真3]
数日後,また路上にクマバチがいました。[写真2]
今度は♀です。
急に冷え込んだせいか,動けないようです。
♂♀が揃ったので,雌雄の形態を比較してみました。
ちなみに普段見かけるクマバチは,正式にはキムネクマバチといいます。
日本にはクマバチ属が2亜種5種が知られているそうですが,その中で胸部背面部が黄色いのはキムネクマバチだけです(北海道大学図書刊行会『南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説』(1999年))。
♂の顔面は,頭盾(とうじゅん),頭盾上区(とうじゅんじょうく)といわれる部分が黄色くなっています。[写真4]
♀の頭盾,頭盾上区は,まわりと同じ黒色です。[写真5]
♂と♀の顔面を見比べてみると,随分印象が違います。
別の種類のようです。
文一総合出版『日本産ハナバチ図鑑』(2014年)には,キムネクマバチについて,次のように書いてありました。
♀♂:体長18~25mm
この個体は,♂が23mm,♀が24mm。[写真6][写真7]
♂♀はほぼ同じ大きさです。
♀の体毛は胸部の背面と,側面の一部が黄色で,そのほかはほぼ一様に黒色。♂の体毛は♀とほぼ同じパターンを示すが,中胸盾板中央部には黒色毛が混じり,前脚の脛節・付節の外面の毛は黄味を帯び,触角柄節外面は黄色。♂の後脚腿節下面の,中央よりやや基部よりに歯状突起がある。
・♂の体毛は♀とほぼ同じパターンを示すが,中胸盾板中央部には黒色毛が混じり
[写真8]
・前脚の脛節・付節の外面の毛は黄味を帯び
[写真9]
・触角柄節外面は黄色
触角第1節を柄節(へいせつ),第2節を梗節(こうせつ),その先を鞭節(べんせつ)といいます。[写真10]
確かに♂の触角柄節(第1節)は黄色くなっていますね。
頭盾,頭盾上区と同じように黄色くなっているということに,意味があるようです。
節数を数えてみると,♂は13節,♀は12節でした。
・♂の後脚腿節下面の,中央よりやや基部よりに歯状突起がある
[写真11]
翅を比較してみました。[写真12]
♀の前翅後縁部の色が薄くなっています。
以前のクマバチ♀の写真(→2011年6月26日)では,こうした模様はないので,この個体だけの変異なのかもしれません。
腹部の節数を数えてみました。
[写真13]が♂,[写真14]が♀です。
スズメバチの腹部は,♂が7節,♀が6節からできています。
同じように,♂は7節かと思いましたが,♂も♀も6節のようです。
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[写真1]2016/4/23
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[写真2]2016/4/26
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[写真3]頭部(♂)
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[写真4]頭部(♂)
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[写真5]頭部(♀)
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[写真6]♂
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[写真7]♀
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[写真8]前胸盾板 上:♂ 下:♀
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[写真9]前脚付節 上:♂ 下:♀
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[写真10]触角 上:♂ 下:♀
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[写真11]後脚腿節 上:♂ 下:♀
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[写真12]翅 上:♂ 下:♀
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[写真13]腹部(♂)
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[写真14]腹部(♀)
2014年4月29日
道にクマバチが死んでいました。
体をまるめ,口吻から長い舌が出たままになっています。[写真3]
両眼の間には,オスの特徴である三角形の黄色い斑紋があります。[写真2]
(メスには[写真4]に見るように,額の黄色い斑紋がありません。)
多くのハチのなかまでは秋に交尾するとオスは死んでしまい,受精した女王バチだけが越冬して,春に巣作りを始めます。
クマバチはオスも越冬し,春にメスと交尾するそうです。
京都新聞社『四季に住む 京の昆虫』(1988年)には,次のように書いてありました。
ハナバチの仲間で子育てするのは雌だけで,雄は普通秋に交尾すると死んでしまう。ところが,クマバチの雄は春まで生き残り,交尾のためになわばりをつくり,雌を待ち受ける。五月初めに東山ドライブウエーを通るとなわばり雄がたくさん見られる。
どういう経緯で舌を出したまま死に至ったのか不思議ですが,長い舌ですね。[写真3]
細かい毛がたくさん生えています。
ハチはチョウのようにストロー状になった口吻で蜜を吸うのではなく,たくさん生えた毛に蜜を絡ませて,舌を出したり引っ込めたりして舐めているようです。
ハナバチ類は花の蜜を吸うために長い舌を持っていて,蜜をもらう代わり受粉を助けるという共生関係があります。
ところが,クマバチは頭が大きくて花の中に入らないので体に花粉がつきません。
こうした受粉を行わずに花蜜だけを奪う行為は,「盗蜜」と言われています。
平凡社『日本動物大百科 第10巻 昆虫Ⅲ』(1998年)には,次のように書いてありました。
クマバチ類は例外なく盗蜜の常習者である。長舌バチであっても中舌の発達が悪く,これをおぎなうために斧(おの)形に発達した外葉を花冠の基部に突き刺して穿孔盗蜜をする。このような採餌様式には送粉効果はともなわない。たとえば,キムネクマバチはブルーベリー(ツツジ科)の花冠の長い品種ではすべて穿孔盗蜜を行なう。
それでも,クマバチ類が有効な送粉者とされる果樹にパッションフルーツ(トケイソウ料)がある。この花はきわめて大型で,ミツバチなどの中型以下の訪花昆虫には送粉できない。クマバチ類は花に対応した体の大きさを生かして有効に送粉することができる。このようなケースは,フジやユクノキなどの木本性のマメ科で見られ,花弁がばねじかけでかたく閉じられており,クマバチ類だけがこじ開けることができるしくみになっている。熱帯果樹のなかには, 「クマバチ媒花」が散見される。盗蜜者という悪役だけではないのである。
2011年6月26日
クマバチが,飛び立てずにもがいていました。[写真1][写真2]
翅に何かヤニのようなものがついて,上下の翅がくっついてしまっているようです。
持ち帰って,体をスキャンしてみました。
[写真3]が上面,[写真4]は下面。
ごわごわとした毛に覆われていて,名前の通りクマですね。
よく見ると,腹端に針が出ています。
ハチの針は産卵管が変化したものなので,針をもっているのは雌だけです。
針を持たない雄のハチは刺すことはありません。
といっても,アシナガバチやスズメバチの場合,ほとんどの個体は雌です。
女王バチを中心とした社会性を持つ,ミツバチやアシナガバチ,スズメバチのなかまでは働きバチはすべて雌です。
雄は交尾のためだけに少数生まれるにすぎません。
餌を求めてあたりを飛び回っている実働部隊はすべて雌なので,私たちが普段出会うアシナガバチ,スズメバチはすべて刺すハチです。
ところがクマバチは社会性を持たず,単独生活をしているので,雄と雌はお互いに相手を探し求めて交尾します。
クマバチの雄雌比率はわかりませんが,雄はかなりいるようです。
クマバチの雄は針をもたないので刺すことはありませんし,雌も積極的に刺してくることはありません。
いかつい体に大きな羽音,こわい感じがするクマバチですが,実は花の蜜を食べる,おとなしい草食系のハチなのです
2006年8月24日
クマバチが道で丸まっていました。死んでいるのかなと思ってつかむと,まだ動いています。落ち葉の上にのせて,しげしげと見ると,烏天狗のような顔つきです。
クマバチは花の蜜や花粉を食性とする,おとなしいハチです。雄は針がないため刺すことはありません。雌も積極的に攻撃することはありません。
2005年2月24日
クスノキの枯れた枝が落ち,破片が散らばっていました。その傍に大きな黒い虫が転がっていました。クモかなと思ったのですが,よく見るとクマバチです。脚をかすかに動かしています。枯れ枝の中で冬眠中に枝が落ちたようです。