巣箱の上で,ヤマガラのオスが一生懸命さえずっていました。
まわりに必死に訴えかけるようにせわしなく向きを変えては,声を張り上げています。
2時間前にはシジュウカラも下見に来ていました。[写真6]
さてどちらが巣作りするのでしょうか。

この巣箱には,今までにシジュウカラが4回,ヤマガラが1回巣作りしています。
2012年 ヤマガラ(→2012年3月21日
2010年 シジュウカラ(2回)(→2010年4月6日)(→2010年5月19日
2008年 シジュウカラ(→2008年6月3日
1998年 シジュウカラ

ヤマガラのさえずりは,縄張りを主張しているのか,メスを呼びこんでいるのか,どちらなのでしょうか。
清棲幸保著『野鳥の事典』(1994年)には,鳥のさえずりについて次のように書いてありました。

鳥の囀(さえず)りは領域(テリトリー)を公に知らせるためで,いいかえれば雄が同じ種煩の雄に対して領域にはいるなと告げる叫びでもある。領域の広さは鳥の種類によって異なるが,他の別種に対しては領域は何んらの関係もなく互いに無関心である。そのうえ配偶者のきまらない雄では雌に対して自分が雄であることを囀りで知らせる叫びでもある。囀りは近くに雄がいたり雄の数が多かったりするとひん繁になりまた領域の争いもはげしくなるのが常である。目に見えない領域の境界線内に他の雄が浸入するとはげしい争いとなるが,普通は囀りだけで相手を追いはらうのに充分である。領域内に2~3ヵ所の囀り場所を定めているのが常である。抱卵や育雛期には雄の囀り声は抱卵や育雛中の雌にある安心感を与えてもいるらしく,囀り声がと絶えると雌は早くも頭部を立てて警戒の体制にいることが多い。囀りは領域の宣言が第1だが営巣・抱卵・育雛中にも囀りつづけて互いの番(つが)いの関係を強める働きをもしている。

縄張りの主張であり,メスを呼んでいるのであり,両方だということのようです。
ただ「他の別種に対しては領域は何んらの関係もなく互いに無関心である」と書いてありますが,この巣箱はシジュウカラもねらっていることからすると,シジュウカラに対しても縄張りを主張しているように思えます。
隠れて上記の写真を撮っている時,ヤマガラがカメラを見つけてこちらに向かってきました。
意外に攻撃性があることから,シジュウカラに対しても縄張りを主張しているのではないかと思った次第です。