フユイチゴの過去記事を一つにまとめました。


2023年12月31日

フユイチゴに赤い実がなっていました。キイチゴ類のおおくは春から夏にかけて実をつけますが,フユイチゴは名前のとおり冬に結実します。

フユイチゴ
フユイチゴ[ in粟田口大日山町 on2023/12/31 ]
フユイチゴ
フユイチゴ[ in粟田口大日山町 on2023/12/31 ]

瑞々しくておいしそうな液果なのですが,枝が地面を這って広がっているうえに大きな葉に隠れて,上から見下ろすとあまり目立ちません。

フユイチゴ
フユイチゴ[ in粟田口大日山町 on2023/12/31 ]
フユイチゴ(葉:表面)
フユイチゴ(葉:表面)[ in粟田口大日山町 on2023/12/31 ]
フユイチゴ(葉:裏面)
フユイチゴ(葉:裏面)[ in粟田口大日山町 on2023/12/31 ]

赤い色をした甘い液果をつけるということは被食散布をおこなう植物のはずです。種子散布者は誰なのでしょうか。一般的な鳥ではないような気がします。鳥に食べてもらおうとすれば,もっと枝を立ち上げ,空からの視認性を高めているはずです。

『本州以南の食肉目3種による木本果実利用の文献調査』という論文に,ツキノワグマ,テン,タヌキの糞中に発芽可能なフユイチゴの種が含まれていることが報告されています。特にテンは他の2種よりも液果を好む傾向にあるそうです。
東山にはツキノワグマはいませんが,テンなどのイタチの仲間やタヌキは多数生息しています。餌となる昆虫などが減少する秋から冬にかけて,ちょうど実がなるフユイチゴは絶好の食料になるに違いありません。フユイチゴの主な種子散布者は鳥ではなく哺乳類なのではないでしょうか。

フユイチゴ(集合果)
フユイチゴ(集合果)[ in粟田口大日山町 on2023/12/31 ]
フユイチゴ(集合果:断面)
フユイチゴ(集合果:断面)[ in粟田口大日山町 on2023/12/31 ]
フユイチゴ(小核果)
フユイチゴ(小核果)[ in粟田口大日山町 on2023/12/31 ]
フユイチゴ(小核)
フユイチゴ(小核)[ in粟田口大日山町 on2023/12/31 ]
フユイチゴ
フユイチゴ[ in粟田口大日山町 on2023/10/19 ]
フユイチゴ
フユイチゴ[ in粟田口大日山町 on2023/10/19 ]
フユイチゴ
フユイチゴ[ in粟田口大日山町 on2023/10/19 ]

2022年1月8日

フユイチゴに実がなっていました。おいしそうな赤い実は被食散布を狙っているのでしょうが,誰が種子散布者なのでしょうか。やはり鳥でしょうか。


2021年12月13日

冬枯れの地面を覆うように,フユイチゴのいきいきとした緑色の葉がひろがっていました。葉陰から赤い実がのぞいています。


2019年1月19日

(16)~(18)フユイチゴに新たな実がなっていると思ったら,核果がとれて赤い果床が現れているのだった。(18)は断面。


2018年12月8日

(7)フユイチゴが赤い実をつけていた。(インクライン)


2010年12月12日

フユイチゴに赤い実がなっていました。[写真1][写真2]

冬に実がなるからフユイチゴといいます。
ほふく枝でひろがり,冬でも青々とした葉をつけています。[写真3]
実はいわゆる木イチゴの一種で,食べることができます。
見た目どおり,甘酸っぱい味がします。

枝は地面を這っているので,実がなっていてもあまり目立ちません。
赤いおいしそうな実で,実際甘い味がするのですが,この目立たない実の付き方を見ると,積極的に誰かに食べてもらおうとしているのか疑問に思えてきます。
種子散布動物は何なのでしょうか。

何かが食べて,消化されなかった種が糞と一緒にいろいろな場所にばらまかれている(被食散布)のは確かなのでしょうが,このあたりのフユイチゴの実は被食されているようには思えないのですが。

保育社『原色日本植物図鑑・木本編Ⅱ』(1989年)には,フユイチゴについて次のように書いてありました。

暖地の低山の木陰に普通にある常緑低木。
茎は直立または横斜し,高さ20~30cm,径2~2.5mm,まがった短毛を密生し,分枝する。また別に長い匐枝をだし,長いものは長さ2mに達し,先に新苗を作る。
葉は互生,葉身は心形,5浅裂,鈍頭または円頭,微凸鋸歯縁,幅5~10cm,洋紙質,両面脈に沿って短毛がある。
葉柄は長さ4~9cm,短毛を密生。
托葉は落ちやすく,長さ1~1.5cm,羽裂し,裂片は線形,膜質,有毛。

集合果は赤熟し,食べられる。
小核は乾けばまがった卵形,長さ2mm,網目文様があり,無毛。

・「匐枝」(ふくし)とは,匍匐枝(ほふくし),匍匐茎(ほふくけい),ストロンともいい,地上をはう茎のことで,節から葉や根を出します。

・茎は「まがった短毛を密生」します。
[写真4]は同じ場所のフユイチゴの茎ですが,左側の茎には棘があり,右側のものには棘がありません。
フユイチゴには,棘があるものとないものがあるようです。

・花は「9~10月」に咲くはずなのですが,いつも気付かないうちに花の時期を見過ごしてしまいます。
葉に隠れて見えにくいのだと思います。

・実は集合果です。
1個の花に多数の雌しべがあり,それぞれの子房が果実となって1個にまとまっています。
[写真5]は果実の断面。
1粒1粒の実(小核果)の中に種(小核)が入っているのがわかります。

・核果(小核果)の中の核(小核)は,「乾けばまがった卵形,長さ2mm,網目文様があり,無毛」。[写真6]
この果実には,14個の核がありました。


2007年12月29日

フユイチゴに赤い実がなっていました。
フユイチゴは草本に見えますが,木イチゴの一種で食べることができます。

日陰に生え,地面を這ってほふく枝をのばすので,実がなっていてもあまり目立ちません。
地味ですがよく見ると,まっ赤で艶々としていておいしそうな実です。
食べてみると,味は甘酸っぱくて,すこし青くさい香りがします。
甘い果物を食べ慣れている現代人には,特別おいしいわけでもない普通の木イチゴの味というところでしょうか。

花は実よりももっと目立たないようです。
9月~10月に花を咲かせているはずなのですが,いつも見過ごしています。
名前も冬に実がなることから「冬苺」です。
寒い時に実がなることから,別名「カンイチゴ(寒苺)」ともいいます。
私としては直截的な名前の「冬苺」よりも「寒苺」の方が,なんとなく趣があって好きですね。

木イチゴ類の実は,小さな実が集まった集合果です。
花にたくさんの雌しべがあり,受粉後,雌しべの子房の壁がふくらんで小核果(しょうかくか)となります。
小核果が集まり集合果となります。

「朝日百科 植物の世界」には,『1花あたりの雌しべの数は平均30本だが,1集合果あたりの小核果の数は平均10個。』とありました。
他の木イチゴ類に比べて小粒なのは,小核果になる数が少ないからのようです。

実のアップ写真[写真2]に写っている,赤い小核果から髭のように伸びているものは雌しべの名残です。
よく見ると,小核果になれなかった雌しべの残骸もたくさん写っています。

[写真3]は茎,[写真4]は葉裏の様子です。
どちらにも短い毛が密生しています。

ここで疑問が。
[写真3]を見ると,短毛とともに棘もあります。
図鑑によると,フユイチゴの茎には棘がないのが特徴のはずです。
茎に棘があるのはミヤマフユイチゴで,よく似た両種の重要な相違点の一つです。
他の特徴はどう見てもフユイチゴなのですが・・・。

「朝日百科 植物の世界」に次のようにも書いてありました。
『葉裏やがくに毛がなく,茎にとげの発達したミヤマフユイチゴR.hakonensisは,フユイチゴに酷似し,両種はいたるところで雑種をつくる。』

雑種なのか,それともこれは棘とはいわないのか,よく分りません。


2005年11月8日

フユイチゴの実
フユイチゴの実。冬に実が生るので「フユイチゴ」。プチプチしたおいしそうな実がたくさん生っているのですが,地面を這って伸びるので,以外に目立ちません。よく似た種類に「ミヤマフユイチゴ」がありますが,「フユイチゴ」の茎には毛が密生しているのに対し,「ミヤマフユイチゴ」の茎は無毛または軟毛が散生しています。


2004年11月1日

フユイチゴの実
フユイチゴの実が赤く熟しています。花は夏に咲きますが,実が熟すのは晩秋から冬です。冬に実がなるのでフユイチゴ。食べると,かなり酸っぱい。こういう甘酸っぱさはジャムに向いています。


2003年11月1日

フユイチゴ
家の前の石垣に蔓が垂れていて,そこに赤いイチゴがなっていました。フユイチゴです。蔓をずっと辿ってゆくと,実がたくさんなっていました。冬に実が熟すので,冬苺といいます。別名,寒(カン)苺。味はおいしいのですが,実が小さいのが難点です。