コバノガマズミの過去記事を一つにまとめました。


2024年4月26日

 ウワミズザクラの花が散り,入れ代わるようにコバノガマズミの白い花が咲いています。青い茂みのなかに白い花が端正です。

コバノガマズミ
コバノガマズミ[ in粟田口大日山町 on2024/4/19 ]
コバノガマズミ
コバノガマズミ[ in粟田口大日山町 on2024/4/19 ]

 本家のガマズミはまだ見たことがありません。見かけるのはコバノガマズミばかりです。ガマズミとの主な判別点は,コバノガマズミは葉柄が短く,葉の付け根に細長い托葉があることらしいです。
 ガマズミ属検索表(『日本の野生植物』(2016年))によると,

G. 葉柄は長さ2-6mmで,ふつう線形の托葉がある。葉身はふつう小さく,しばしば幅が狭い。萼裂片は長三角形で,花冠は無毛,雄蕊は突出する。
……12. コバノガマズミ

G. 葉柄は長さ(5-)10-25mmで,ふつう托葉はない。葉身はしばしば幅広く,倒卵形~円形。
(略)
H. 枝,葉柄,花序には密に軟毛と束生毛がある。冬芽に毛がある。
(略)
I. 雄蕊は長く突出し, 長さ4-6mmである。花冠の外側には多少毛がある。葉身は両面とも毛があり,裏面には腺点があり,ふつう短軟毛と星状毛がある
……14. ガマズミ

『日本の野生植物』(2016年)には,コバノガマズミについて次のように書いてありました。

高さ1-4mの落葉低木で,枝は灰色,髄は白または褐色がかる。若い枝には4稜があり,帯赤色,細かい星状毛が密にある。冬芽は長さ3-5mmで,4個の有毛の鱗片葉に包まれる。葉は卵形,倒卵形,楕円形,長楕円状披針形,長さ2-9cm,幅1.5-3.5cmで,先端は鋭頭~尾状鋭尖頭,基部はくさび形~円形,不整な歯牙状鋸歯があり,表面はなめらかで,わずかに光沢があり,ほぼ無毛またはまばらに有毛,裏面は無毛かときに細かい腺点があり,脈腋には星状毛が,主脈には長い伏した粗毛があり,下部の縁近くには数個の腺点がある。側脈5-8対で,表面でわずかにへこんでいる。葉柄は短く,長さ2-6mm,密に長い軟毛と細かい星状毛がある。托葉は線形で長さ3-6mm,まれにないこともある。花期は4-6月。散房花序は平頂で,径3-7cm,しばしば長い軟毛が混じった星状毛に密におおわれる。苞は線形,長さ2-8mm,有毛で,早落性。
萼裂片は5個,長三角形で,柔毛がある。花冠は白色,車状,径5-7mmで,無毛,ややにおいがあり,5深裂して,裂片は楕円形または卵形,長さ2-2.5mmである。雄蕊はつねに突出し,花糸は長さ2.5-3.5mm,葯は楕円形で黄色,長さ0.5-1mmである。子房は星状毛でおおわれるが,まれに無毛である。果期は9-11月。核果は球形または楕円形で,長さ5-7mm,暗赤色に熟し,液質である。核は楕円形,長さ5-7mm,扁平ではっきりしない溝がある。染色体数2n=18。本州 (関東以西の太平洋側)・四国・九州の標高50-1300mの丘陵地や山地に生える。

・若い枝には4稜があり,帯赤色,細かい星状毛が密にある。
断面を見ても,シソ科植物の茎のような明確な4角形という感じはしません。

コバノガマズミ(若い茎・断面)
コバノガマズミ(若い茎・断面)

・冬芽は長さ3-5mmで,4個の有毛の鱗片葉に包まれる。
新しい枝の根元に,4個の鱗片が残っていました。

コバノガマズミ(鱗片葉)
コバノガマズミ(鱗片葉)

・葉は卵形,倒卵形,楕円形,長楕円状披針形,長さ2-9cm,幅1.5-3.5cmで,先端は鋭頭~尾状鋭尖頭,基部はくさび形~円形,不整な歯牙状鋸歯があり,

コバノガマズミ(葉・裏面)
コバノガマズミ(葉・裏面)

・表面はなめらかで,わずかに光沢があり,ほぼ無毛またはまばらに有毛,

コバノガマズミ(葉・表面)
コバノガマズミ(葉・表面)
コバノガマズミ(葉・表面)
コバノガマズミ(葉・表面)

・裏面は無毛かときに細かい腺点があり,脈腋には星状毛が,主脈には長い伏した粗毛があり,下部の縁近くには数個の腺点がある。側脈5-8対で,表面でわずかにへこんでいる。

コバノガマズミ(葉・裏面)
コバノガマズミ(葉・裏面)
コバノガマズミ(葉・腺点)
コバノガマズミ(葉・腺点)

・葉柄は短く,長さ2-6mm,密に長い軟毛と細かい星状毛がある。托葉は線形で長さ3-6mm,まれにないこともある。

コバノガマズミ(托葉,葉柄)
コバノガマズミ(托葉,葉柄)

・花期は4-6月。散房花序は平頂で,径3-7cm,しばしば長い軟毛が混じった星状毛に密におおわれる。

コバノガマズミ(花序)
コバノガマズミ(花序)

・苞は線形,長さ2-8mm,有毛で,早落性。萼裂片は5個,長三角形で,柔毛がある。

コバノガマズミ(萼,苞)
コバノガマズミ(萼,苞)

・花冠は白色,車状,径5-7mmで,無毛,ややにおいがあり,5深裂して,裂片は楕円形または卵形,長さ2-2.5mmである。

コバノガマズミ(花)
コバノガマズミ(花)

・雄蕊はつねに突出し,花糸は長さ2.5-3.5mm,葯は楕円形で黄色,長さ0.5-1mmである。子房は星状毛でおおわれるが,まれに無毛である。

コバノガマズミ(花・断面)
コバノガマズミ(花・断面)

2022年4月20日

コバノガマズミの花が咲いていました。

コバノガマズミ花
コバノガマズミ花

2021年4月21日

(13)コバノガマズミの花が咲いていました。(九条山)


2020年4月25日

(6)家の前に咲いているコバノガマズミの花。この花も,1年経ったことを思い出させてくれます。(九条山)


2018年10月9日

(23)コバノガマズミの実が赤く色づいている。(九条山)

  • コバノガマズミ実
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    [写真23]コバノガマズミ実

2018年4月20日

・キッチンから見える茂みに,ひとむらの白い花。何かなと思ったらコバノガマズミだった。(九条山


2011年11月15日

家の周りに生えているコバノガマズミに,赤い実がなっています。[写真1]
例年はまばらな,少し貧相な実のつき方なのですが,今年は実つきがよいようです。
コバノガマズミは「小葉の」ガマズミで,ガマズミより幅が狭く,小さな葉が特徴です。
ガマズミとの相違点 → 2009年4月30日
実は甘酸っぱく,食べることができます。
懐かしい味がしますが,今どきの子供は食べないと思います。
実の中には,核が1個あります。[写真3]
核のなかに種子が入っています。[写真4]
ガマズミの枝は昔から,蔓のように物を束ねるのに使われていたようです。
平凡社『世界大百科事典』(2005年)には,次のように書いてありました。

枝は柔軟性があり,しかも強靭で折れにくいため,道具類の柄にする。また枝をねじって薪をたばねるのに使ったり,かんじきの材料とする。魔よけになるとして杖にする地方もある。

『朝日百科 植物の世界』(1997年)にも,次のように書いてありました。

 日本人は昔からガマズミの枝を,何かを束ねるときに利用してきた。『本草綱目啓蒙(ほんぞうもうもくけいもう)」(小野蘭山著,1803年)には「木皮靭ニシテ折レ難シ,故ニー名子ソト云,子ソハ薪ヲ縛スル藤蔓ノ事ナリ,此木柔靭ニシテ,其代リニ用フベシ,因テ名ク」と記されている。山仕事に手慣れた者は,ガマズミをあらかじめ見つけておいて,それをたくみに縒って縄を作り,刈柴を手ぎわよくまとめていく。人びとは,生活の知恵として,その枝の柔らかくてしかも折れにくい特徴を見抜いていたのであろう。

本当に枝が折れにくいのか,コバノガマズミで試してみました。
枝に少しずつ力を加えると,折れずに曲がり,丸く束ねると,リースのようになりました。[写真5]
これは本当に物を束ねるのに使えそうです。
[写真6]は,今年5月に咲いていた花の様子。


2009年4月30日

コバノガマズミの花が咲いています。

家の周りにある木で,秋には赤い実がなります。
長い間ガマズミだと思っていましたが,よく調べてみるとコバノガマズミでした。

『牧野新日本植物図鑑』(1970年)には,コバノガマズニについて次のように書いてありました。

関東地方から西の日本各地,朝鮮,支那に分布し,日当りのよい山地に多い落葉低木。高さ1.5~2.5mになり,小枝に細毛がある。葉は対生し,長さ3~5mmの毛のある短柄があり,葉身は長卵形または卵状長楕円形で先は鋭くとがり,へりには低三角形のきょ歯があって長さ3~10cm,幅2~5cm,表裏ともに細毛がはえている。葉柄のつけ根には細小な托葉がある。初夏に1対の葉がある短枝の上に散房花序をつけ多数の小白花を開く。花冠は5裂し,長い5本の雄しべがある。花後に赤色で球形,長さ6~7mmの核果を結ぶ。本種もはなはだ変化が多く,やはり果実が黄熟するキミノコバノガマズミや葉身が広皮針形で先が目立ってとがるナガバガマズミ,葉にやや深い切れこみのあるサイゴクガマズミ,葉の表面に毛がなくて光沢があるテリハコバノガマズミなどがある。

・短い枝に「葉は対生」して生えます。[写真3]

・葉柄は「長さ3~5mmの毛のある短柄」です。[写真4]
ガマズミの葉柄よりかなり短く,見分けるポイントとなります。

・葉は「長卵形または卵状長楕円形で先は鋭くとがり,へりには低三角形のきょ歯があって長さ3~10cm,幅2~5cm,表裏ともに細毛がはえて」います。[写真3]
ガマズミより小形で,細長い形をしています。

・「葉柄のつけ根には細小な托葉」があります。[写真4]
ガマズミには,托葉はありません。

・葉の両面には星状毛・腺点が多く,葉身下部に1~2対の腺体があります。[写真5]
ガマズミの葉にも多数の腺点が散らばっていますが,腺体はありません。

・「初夏に1対の葉がある短枝の上に散房花序をつけ多数の小白花を開」きます。[写真1]
京都では4~5月に開花します。
ガマズミは少し遅く,5~6月に開花します。

・「花冠は5裂し,長い5本の雄しべ」があります。[写真2]
同じスイカズラ科のヤブデマリやムシカリの花には,花序のまわりに装飾花があり華やかですが,ガマズミ類は白い小さな両性花のみなので質素な感じがします。

・「花後に赤色で球形,長さ6~7mmの核果を結」びます。[写真6]
実の付き方はガマズミよりまばらですが,ガマズミと同様に食べることができます。
写真は10月9日(2005年)に写したものです。

ガマズミの名前について,同書には次のように書いてありました。

〔日本名〕語源はわかっていないが,スミは染の転訛で,この類ことにミヤマガマズミの果実で古く衣類をすり染めしたことと関係があろう,一説に神ッ実でオオカメノキとともに桃の渡来及びその説話と関係があろうという。


2005年10月9日

コバノガマズミ
コバノガマズミの実が赤く色づいています。食べ頃は,霜がおりる頃だとか。家の前になっているのですが,まだ試したことがありません。


2004年4月26日

コバノガマズミの花。
コバノガマズミの花。5本のおしべが花の外に突き出ていて,宇宙人の頭にあるアンテナ(?)のようです。秋に赤い実をつけ,霜が降りる頃に甘くなります。